2021 Fiscal Year Research-status Report
冷戦終結後における日本とイタリアの政治変動の比較研究―「脱冷戦」の視点から
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21K01310
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
後 房雄 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (20151855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 公雄 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (00159865)
石田 憲 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40211726)
伊藤 昌亮 成蹊大学, 文学部, 教授 (80548769)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政治改革 / 小選挙区制 / 二大勢力化 / 政権交代のある民主主義 / 脱冷戦 / ポピュリズム / パーソナル・パーティ / デジタル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者及び研究分担者が、各自の分担に基づいて、必要な文献、資料の収集、それらの検討作業を進めた。それと並行して、3回のZOOM研究会を研究協力者も交えて実施して、それぞれの研究の進捗状況について中間報告を行い、それをめぐって討論を行った。 具体的には、冷戦終結後の日本とイタリアの政治変動の基本的な軌跡を共有し、それとの関連で、外交防衛政策、社会運動、SNSなどのデジタル技術の活用、ジェンダー問題などについて各自が研究を進めた。 その結果として、両国とも政治改革(特に小選挙区制導入を中心とした選挙制度改革)の効果として、従来の多党制的な状況が二大勢力化、さらには二大政党化の傾向が2010年代の半ばまでは施行したが、その後はその傾向が停滞ないし逆行していることが明らかとなった。その経過の中で、安保法制反対運動やサルディーニ運動などの社会運動が一定の役割を果たした。 日本においては、自民党・公明党連合に対し、民主党が2009年総選挙で政権交代を実現するなど二大政党の一つとしての存在感を示すまでに至ったが、その政権運営の失敗および民主党の分裂によって、自公政権と与党の圧倒的な優位が築かれ、野党の分裂状況が恒常化するという形で二大政党的状況は停滞するに至っている。 他方、イタリアは民主党を中心とする中道左派と「自由の家」を中心とする中道右派との間で政権交代を繰り返しながら二大政党的状況にかなり接近したが、中道左派が主導した2016年の憲法改正国民投票の否決を契機に、中道左派の弱体化と分散化が進行し、また、中道右派内においても、同盟、イタリアの同胞などのポピュリズム政党が急速に勢力を伸ばし、かなり衰退したフォルツァ・イタリアと三つ巴状況となっている。加えて、左右両者と距離を置く五つ星運動という特異なポピュリズム政党も一定の支持を維持している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の初年度にあたる2021年度においては、研究の基礎を築くべく、各自での資料、文献の収集およびそれらの検討作業が大きな比重を占めるので、研究作業を順調に進めることができた。 もちろん、研究者間での討論や意見交換は重要であるが、コロナ禍によって対面での研究会や意見交換が制約される中でも、ZOOMによる研究会や意見交換を活用することにより特に支障は生じなかった。 ただし、政治家などへのインタビューなどはやや困難となり、第二年度に予定していたイタリア調査などは延期せざるを得ない可能性もあるが、第一年度終了時点においては、研究は当初の研究計画書に照らしておおむね順調に進展しているといってよいと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
各自での研究作業、およびZOOMを活用しての研究会などは引き続き進めていくが、イタリア調査については、コロナ禍による入出国制限などの状況を勘案しながら、第二年度に行うか、第三年度に延期するかを判断する必要がある。それに伴って、研究期間を一年延長する必要が生じる可能性も否定できない。 ただし、ZOOMによる研究会を行うことにより、イタリアやアメリカの研究者との研究会を実施することも容易になったので、順次企画する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた研究会およびインタビュー調査の旅費などの支出ができなかったため、それに相当する資金を次年度に繰り越して支出することとした。 今年度に計画していた対面研究会やインタビュー調査は、次年度において実施する予定である。
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[Book] 協働と参加2021
Author(s)
金川 幸司、後 房雄、森 裕亮、洪 性旭
Total Pages
256
Publisher
晃洋書房
ISBN
9784771035041
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