2023 Fiscal Year Research-status Report
不確実性下の戦略的状況における先行者利益と社会厚生に関する研究
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21K01405
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 友哉 明治学院大学, 経済学部, 教授 (70706928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雨宮 祐樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 准教授 (70759349)
石原 章史 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (80643668)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 不確実性下の逐次手番ゲーム / クールノー競争 / シュタッケルベルグ競争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、エージェント間の競争に影響を与える3つの要因(「情報の質」、「プレイヤーの数」、「行動のタイミング」)が、リーダーの利益に与える影響を、不確実性下の逐次手番ゲームを用いて解明することを目的としている。2023年度は、2022年度に実施した論点の再整理に基づいて、モデル構築に取り掛かった。 モデル構築では、2022年度の論点整理で得た知見を活用した。より一般的な結論を得るには複数リーダーと複数フォロワーを想定したモデル構築が望ましい。しかし、2022年度の論点整理で判明したように、複数のリーダーを想定すると戦略的要素が複雑に絡み合い、解析的に分析することが難しくなる。そこで、2023年度の取り組みでは、複数フォロワーの設定は維持しながら、リーダー数を1つに限定したモデル構築に取り組んだ。戦略の線形性を維持するために、ファンダメンタルとシグナルは正規分布に従う設定を継続した。 これらのモデル構築の過程で、本研究プロジェクト課題1(最適な参入タイミング)を解明する手がかりを得ることができた。具体的には、経済主体の情報取得の内生化の検討を始めた。情報取得が外性的な場合と内生的な場合の期待利得を比較することで、より現実的に最適な参入のタイミングを分析できるようになる可能性がある。 そこで、2023年度は本研究プロジェクト課題3と密接に関わるコーディネーション・ゲームを拡張して、情報取得を内生化したモデルを構築した。その研究成果を、金沢星稜大学で実施されたCTW Summer Campで報告した。そこで得られた貴重なフィードバックに基づいてモデルの見直しを行い、研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は同時手番コーディネーション・ゲームにおける情報取得行動を内生化したモデル構築し、その成果を学術誌に投稿できる段階に仕上げることができた。また、CTW Summer Campで研究成果を報告することもできた。そして、その際に得たオーディエンスやレフェリーからのフィードバックに基づき、改訂作業を行うことができた。この作業によって、モデルを逐次手番に拡張して研究課題1と研究課題3を分析していく準備が整った。研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。その一方で、2023年度も対面ミーティングの機会を十分に確保できなかった点に課題が残る。よりプロジェクトを進展させるためには、十分な研究時間を確保してディスカッションを行う対面ミーティングの時間を確保する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に構築した同時手番コーディネーション・ゲームを拡張するとともに、その特徴をシュタッケルベルグ競争モデルに導入することを計画している。これによって、研究課題1と研究課題3に関する結果を得て、ディスカッションペーパーとして公表する計画である。また、この計画を実現させるために、夏期まではプロジェクトメンバーによる個々の分担作業を中心に行う。その上で、夏季にそれぞれの成果を集約する対面ミーティングの時間を確保する。秋季以降は、その成果をディスカッションペーパーとしてまとめて公表することを計画している。
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Causes of Carryover |
対面ミーディングの回数を十分に確保できなかった。また、2023年度は、海外での学会発表や調査行わなかった。そのため、当初の研究計画よりも旅費の支出が減り、予算を消化しなかった。2024年度は、プロジェクトをより進展させて、研究の質も高めるために、対面ミーティングの回数を増やすとともに、海外学会での発表および調査を行うことを計画している。それらの計画を達成するために、繰り越した予算は充当する。
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Research Products
(1 results)