2023 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the influence of biological evolution on the dawn of neoclassical economics in Britain and the United States in the 1890s and 1930s
Project/Area Number |
21K01409
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 副学長 (80292077)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Alfred Lotka / Paul Samuelson / Alfred Marshall / 進化論 / 近代経済学 / Lotka-Volterra方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マーシャルを生物学と熱力学を中心とする物理学という観点から再検討し、その上で生態系の熱力学的な表現を追求したロトカの研究の経済学市場の意義を明らかにすることが本研究の目的であった。本研究計画では,日本ではあまり注目されていないロトカの生涯と研究の内容を整理し、Lotka-Volterra方程式が生まれた背景を考察した。 ロトカの成果を経済学に反映させたのがサミュエルソンである。市場の淘汰圧という考え方は漠然とはしられていたが、均衡理論の動学的過程として表現するためには、進化論の概念を採り入れながらも,古典力学によって統一的に描かれる必要があった。 ロトカとサミュエルソンの関係自体はこれまでもBackhouse(2017)などでも取り扱われていたが、進化論の新古典派の中での解消という点においては、Hirshlifer(1977)を除くとほとんど取り扱われていない。本研究では、18世紀以来の経済学の中での進化論の取り扱いの一つの分岐点としてこの問題を取り扱った。 ロトカおよびサミュエルソンの生態系・進化論にかんする見解を確認するため、アk-カイブワークを行った。研究開始時点ではまだコロナ禍の影響が残っていたが、幸いにして、サミュエルソンに関しては、米デューク大学に、ロトカにかんしては、プリンストン大学にドラフト等があり、一部はデジタルデータとしてweb上で公開されている。これを事前に検討したが、プライベートな情報以外は、阿新たな発見はなかった。 そこで、もう一度ロトカの著作に立ち戻って、テキスト解析を行い、ロトカの研究の意図を読み解くと同時に、サミュエルソンのThe Foundationでの計画にその意図がどのように引き継がれたのかを考察した。
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