2023 Fiscal Year Research-status Report
Contemporary Significance of Ricardian Trade Theory
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21K01417
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
服部 茂幸 同志社大学, 商学部, 教授 (60258192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩澤 由典 大阪公立大学, 大学院経済学研究科, 名誉教授 (00109076)
岡 敏弘 京都大学, 公共政策連携研究部, 教授 (00231209)
田淵 太一 同志社大学, 商学部, 教授 (50242136)
平野 嘉孝 富山県立大学, 工学部, 教授 (80305482)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | リカード貿易論 / 新国際価値論 / グローバル・バリュー・チェーン / スラッファ |
Outline of Annual Research Achievements |
服部は『グローバル金融資本主義の危機-混迷の世界と経済学』(晃洋書房)を出版した。本書ではアメリカや一部のヨーロッパでは住宅バブルの中で借金を増やし、住宅投資と消費が拡大し、経常収支赤字を拡大した。しかし、バブル崩壊の反動で経済危機が起きると経常収支赤字が減少し、特にヨーロッパのGIIPS諸国は経常収支が黒字化していったことを明らかにした。また経済理論学会の共通論題全体会で「日本の物価は何で決まるのか」を報告し、それを学会誌『季刊経済理論』に掲載した。そこでは日本の物価はコスト、特に輸入物価で決まるのであって、黒田日銀の異次元緩和がデフレ脱却をはたせなかったことは理論的な必然であることを明らかにした。さらに、現在、Why the Bank of Japan under Kuroda fails to Conquer Deflation in Japanを執筆中で、これはSpringerから出版予定である。 塩沢は引き続き国際価値論に基づくミクロ的基礎の研究を進め、その成果をEvolutionary and Institutional Economics Reviewに発表している。 岡は国際価値論で、均衡の視点から脱して経路依存に訴える必然性があることを、需要と供給との不均衡が、ある極大面から別の極大面に移行することによって解消されるメカニズムがないことに焦点を当てて説明し、その視点から、技術的失業としての失業がありふれた現象として起こることを説明した。 田淵は経済学史に関するところでは、生産費価値説にもとづく国際価値論について、引き続きリカードからシーニアへの継承関係を明らかにした。 平野は「商品の生産図式」という分析道具に着目し、ノイマンの均斉成長モデルと比較対照させる研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
服部は1冊の本を日本語で出版し別の本を英語で出版する予定である。 塩沢は予定した支出ができず、予算は残っているが、研究は順調に進んでいる。その他のメンバーはおおむね予算は消化した。 岡はグローバルバリューチェーンの下での炭素生産性の要素分解とその変化の研究をまとめた論文が審査中で改訂作業をしている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、年に2、3回の研究会を開催し、理論、実証、学史の研究を進める。残りの予算は消化を務める。
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Causes of Carryover |
服部出版する英文の本の校正の一部に支出することを考えていたが、許されなかった。余った資金は現在大学などに所属していない塩沢に再分配する。塩沢は完成の遅れていた英語論文(New frontiers of Post Keyenesian economics[仮題]など)の校閲および資料購入にあてる。
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Research Products
(14 results)