2022 Fiscal Year Research-status Report
Does income inequality persist due to natural resource and foreign aid in developing countries? - focusing on psychological factors-
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21K01505
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
金盛 直茂 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (40644745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 教授 (00367947)
青木 芳将 立命館大学, 経済学部, 教授 (90572975)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 所得格差 / 海外援助 / 天然資源 / 行動経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は天然資源へのアクセス状況が異なる2民族に、親から子への選好の文化伝達という要素を加えたモデルを構築した。研究分担者は2021年度に引き続き、関連先行研究のサーベイを実施した。これらの研究実績をまとめると、以下の2点となる。 第1に、天然資源や海外援助の増加が民族間の所得格差をより拡大し、永続的に解消しないことを説明するために、青木・金盛・土居(2020)に、Bisin and Verdier(2001)などの選好の文化伝達モデルを組み入れた。これにより天然資源や海外援助の増加が民族間の資源獲得競争を誘発し、民族間の所得格差をより大きくさせ、その格差は選好の文化伝達によって持続的な効果を生じることにより、所得格差はより拡大し続けることを示した。本モデルにより、天然資源や海外援助の増加による民族間の所得格差をどのように縮小させるかの政策的示唆を導くことが可能になる。 第2に、上記の研究に関する結果の一つを論文にまとめ、2023年度中に学術雑誌に投稿する予定である。また、他の研究結果は、2024年度中に投稿する予定であり、論文に必要なサーベイを行っている。 <参考文献> 青木芳将・金盛直茂・土居潤子(2020),「天然資源が民族間所得格差に与える影響」, 『經濟學研究』, 69(2), 77-90. A.Bisin and T.Verdier (2001),“The Economics of Cultural Transmission and the Dynamics of Preferences”, Journal of Economic Theory, 97(2), 298-319.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目に行うことの第1の目的は、理論モデルの一般化と、政策変数を導入することによる経済政策の所得格差、経済成長率や社会厚生への質的効果を示すことであった。理論モデルの一般化を試みたが、コロナ禍のため、十分な対面での打ち合わせができず、モデル構築に遅れが生じた。このため、天然資源や海外援助の増加による民族間の所得格差をどのように縮小させるかの政策的示唆を導くことができなかった。しかしながら、2022年度は対面での研究打ち合わせを行うことが可能になり、一般化した理論モデルを構築できたため、2023年度中には政策的分析は可能になると思われる。 第2の目的は、関連研究のサーベイであり、論文作成に必要なサーベイは行うことができたと思われ、この点は順調に進んだと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
分担者は、構築した理論モデルを、天然資源がどのように経済成長や社会厚生へ量的に効果があるか、また、どのような経済政策が社会厚生を最大化するかを数値例で示すことである。 研究代表者は、2年目までの結果をもとに作成した論文を、国内の学術雑誌に投稿する予定である。また、最終年度までに分析した結果をもとに論文を作成し、国内外の研究会で発表を行い、学内・学外の研究者からのコメントを取り入れて、国際的な査読付き学術雑誌に投稿する予定である。 この研究が潤滑に進むために、研究代表者と分担者は、頻繁な研究打ち合わせが必要である。今後は対面での研究打ち合わせがより実現しやすくなると考えられることから相互に随時研究の進展を確認し論文の改善を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度もコロナ禍により頻繁な共同研究打ち合わせや学会参加が難しかったため、次年度使用額が生じた。2023年度は、社会情勢の変化により、活発な共同研究打ち合わせ、学会参加・発表を行うことが可能になると思われる。
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Research Products
(1 results)