2021 Fiscal Year Research-status Report
Estimating human resource abundance with satellite imagery: When, Where, and Why?
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21K01653
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宇都宮 譲 長崎大学, 経済学部, 准教授 (60404315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 勝彦 長崎大学, 経済学部, 教授 (00208935)
藤田 渉 長崎大学, 経済学部, 客員教授 (30264196)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 人的資源量 / 東南アジア / 衛星画像 / 色空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、衛星画像と各国が公開する労働力統計を用いて、人的資源量を推定することを目的とする。人的資源量は、潜在的に利用可能な人的資源の量である。労働力人口は、企業や官公庁が抽出・利用する人的資源量を可視化したものと考えられる。いわゆるEclectic Paradigmによれば、企業進出先に分布する人的資源を含む経営資源は、企業進出を左右する。精確な人的資源量推定は重要である。しかし労働力統計に内在する性質は、推定をさまたげることがある。たとえば、人的資源がPatch状に分布する場合、判断を誤る可能性がある。より詳細かつあらゆる地域に適用可能な人的資源量推定手法を開発する必要に迫られている。
衛星画像を用いた人的資源量推定は、有効な一手法である。衛星画像は都県や市郡境に関係なく取得可能である。地上を覆う物体から情報を取得可能である。建物や家屋など人的資源量に影響する物体があれば、色成分に反映されるはずである。たとえば、工場屋根ならば銀色や青色が多いであろうし、家屋ならば灰色や赤い屋根が多い。こうした性質を利用すれば、人的資源量を衛星画像から推定できよう。
2021年度は、Google Mapsから取得した衛星画像と、タイ統計局がCurrent labour forceと呼ぶ労働力人口とが有する関係を解明した。衛星画像は都県毎に設けた区画を無作為に選択、30枚を取得した。上記画像から取得した色成分を予測変数として、都県別に労働力人口を推測することを試みた。労働力人口には、2019年第三四半期を用いた。結果、労働力人口推定には、緑成分(G)がより重要であることが明らかになった。タイ王国発展過程が、畑や森林など緑色である場所を工場や宅地として開発した過程を反映すると示唆される。なお、以上の結果については、2021年12月にAIBSEAにて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度、Google maps画像を用いて、色成分を用いて解析する目処がついた。また、過去の画像についても、Google earth engineから無料取得する目処はついた。必要な場所・時期における衛星画像を連続取得するコードはほぼ完成している。Google社が規約を変更しない限り、予定した期間における画像取得には問題ないと考えられる。ただし、新型コロナウイルスに影響されて、現地確認がまったく終わってない。閉鎖された工場や人類が居住しない住宅地を評価できない。新型コロナウイルスによる渡航制限解除次第、現地確認に向かいたい。
統計分析に要する時間を節約することが、研究を更に進めると考えられる。本研究は大きなデータを扱う。より長期かつ高い頻度にて衛星画像を取得した場合、2021年度に試したようなすべてのデータを用いる分析は長大な計算時間を要求する。結果、研究実行可能性を損なう可能性がある。なんらかの措置を講じる必要があるように考えられる。考えられる措置の第一は、物体検知を使うことである。色情報を用いるかわりに、画像にある物体を検知、検知した物体を識別・係数した結果を予測変数として用いる手法である。近年は手頃な物体検知ライブラリがあるため実行可能性が高い方法と考えられる。しかし計算時間が相応にかかることから、慎重に取り扱う必要がある。第二、データ量を圧縮する。現在用いる衛星画像よりも解像度を下げつつ色情報空間を取得する。解像度は下げれば下げるほどデータ量が確実に減少するから、計算時間を短縮できる。画像から得られる情報量が減少することは避けられないため、予測精度に対する影響を検討する必要がある。無論、更にRコードを改良する必要もある。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は現地確認と論文執筆に傾注する予定である。 2021年度は、国際会議にて2件発表できた。本年は、これら成果を論文にして投稿したい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスにともない、現地確認に係る海外渡航が制限されたため。 2022年度は、海外渡航が解禁された場合、現地確認に関する海外渡航・調査を実施する。
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