2021 Fiscal Year Research-status Report
起業エコシステムにおけるバウンダリー・オブジェクトの生成過程
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21K01668
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
二宮 麻里 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (40320270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 満梨 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30552278)
三井 雄一 西南学院大学, 商学部, 准教授 (00782145)
大田 康博 徳山大学, 経済学部, 教授 (90299321)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 起業エコシステム / スタートアップ / 地方経済 / ソフトウェア業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、研究史の整理、基礎調査、研究対象の一次調査をおこなった。起業エコシステムに関する研究について研究史を整理し、福岡市の起業家、ベンチャー・キャピタル、地方自治体などの資料を収集し、主要な起業家、福岡市、インキュベーション施設関係者などへパイロット・インタビュー調査を実施した。 福岡において想像した以上に多様なアクターが存在することが判明した。そこで IT ソフトウェア産業におけるコミュニティの生成とその支援者との協働に着目することとした。 ITソフトウェア業においては2000年代以降、シリコンバレーを中心にオープンソースソフトウェアが普及し、技術的に重要なプログラム言語やソフトウェアのソースコードの公開が本格化し、ソフトウェア開発がITコミュニティによって推進されるようになった。日本でもオープンソースソフトウェアをどのように活用すべきか検討された。 福岡では、こうしたITコミュニティの中心メンバーが核となり大規模イベントやセミナーが独自に立ち上がり、福岡市もそのイベントを後押した。その結果、エンジニアやWebデザイナー、起業家、支援者、VCの交流が盛んになり、現在、起業を促進する機運が醸成されつつあることに注目した。 調査を継続する中で、こうした現象をどのような分析手法・概念で分析することが適切なのか、バウンダリーオブジェクトという視点から捉えることのみとらわれず、既存研究をさらにサーベイする必要性があることを認識している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、基本的文献を収集し、月に2度という頻度でオンライン研究会を実施し、福岡市スタートアップ関係者にのべ10回(9名)のインタビュー調査ができた。中小企業学会九州部会で報告し、さらに第11回アントレプレナー・カンファレンス(日本ベンチャー学会,日本中小企業学会,企業家研究フォーラム,ファミリービジネス学会共催)にも選抜され、共同報告の機会も与えられた。 起業エコシステムには多くの分析要素があるが、学会で議論された内容を踏まえ、分析視角を定めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに、インタビュー調査およびインターネット上の情報を比較しながら、テキスト分析をおこなう。どのような枠組みで分析をおこなうのかを含めて 福岡市の起業エコシステムおよび研究上の課題に関する基本的な認識に基づき、本格的な定性的・定量的調査を実施する。各種資料、インタビュー、オブジェクトの利用や評価などの記録で得られたデータを分析し、起業エコシステムを構成する各アクターの利害がどのようなものかについて明らかにする。 福岡における産業振興の歴史からスタートアップ支援までがどのように結びついたのかについて、概要をまとめて公表する。またキーパーソンへのインタビューは継続しておこない、分析概念整理をおこなう。福岡市の事例を評価するため、国内外の他の事例について情報収集もおこなう。
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Causes of Carryover |
2021年度に実地でのヒアリング調査ができなかったため。
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Research Products
(3 results)