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2021 Fiscal Year Research-status Report

Research on the microfoundations of organizational ambidexterity in creating DX innovations

Research Project

Project/Area Number 21K01684
Research InstitutionDaito Bunka University

Principal Investigator

山田 敏之  大東文化大学, 経営学部, 教授 (10453664)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
KeywordsDX / イノベーション / 両利きの経営 / ミクロ的基礎づけ / 個人の双面的行動 / 双面的リーダーシップ / 従業員エンゲージメント / 心理的安全性
Outline of Annual Research Achievements

DXイノベーション創造の現状と課題を把握するため、先行研究の検討を行い、DXイノベーション創造を導く組織のあり方を整理した。その中で、DXイノベーションにおける両利きの経営(以下、双面性)の重要性が確認された。次に、双面性の先行研究を検討し、「ミクロ的基礎づけ」の視点から概念モデルの構築を2段階に分けて行った。当初の概念モデルの構成要素は、組織的要因として組織文化(エンパワーメント文化と知識共有文化)及び双面的リーダーシップ、個人的要因(媒介要因)として内発的動機づけ、個人的要因と個人の双面的行動の関係に影響を与えるモデレータ要因(心の知能指数、プロアクティブ特性、外発的動機づけ)が組み込まれた。この概念モデルを検証するため、予備的な実証分析を行い、その成果を学会報告、学術雑誌や学内紀要として公表した。さらに、より広範囲な組織文化(仲間文化、革新文化、効率文化)、職場の心理的安全性、従業員エンゲージメント、ストレス対応能力という新たな構成要素を組み込んだ概念モデルを再構築した。再構築された概念モデルの検証のため、(株)インテージへの業務委託から得られた1076サンプルによる実証分析を行った。構造方程式モデリング、階層的重回帰分析等の結果から次のような発見事項が導かれた。個人の双面的行動が個人のイノベーション創造やDXイノベーション創造を促すこと、従業員エンゲージメントが個人の双面的行動を促す先行要因となること、職場の心理的安全性及びストレス対応能力は従業員エンゲージメントと個人の双面的行動の関係に影響するモデレータ要因となること、双面的リーダーシップは職場の心理的安全性の構築を通じて、個人のイノベーション創造を実現に導くこと、仲間文化、革新文化、効率文化は従業員エンゲージメントを媒介して個人の双面的行動を生起させるが、直接効果と間接効果の強弱等の違いが見られることである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

DXイノベーションに関する領域について、現段階で重要な先行研究のサーベイは完了し、DXイノベーションを促進(阻害)する組織的要因が整理され、個人及び組織レベルの双面性が重要との理解に至っている。ただし、DXイノベーションと双面性との関係についての考察は現段階では不十分であり、学会報告、学術雑誌や学内紀要等への論文投稿には至っていない。一方、理論的な分析枠組みの構築については、当初の予定を大幅に上回るペースで進捗している。現段階で個人の双面的行動を生起させる個人的要因(内発的モチベーション及び従業員エンゲージメント)および組織的要因(組織文化:エンパワーメント文化、知識共有文化、仲間文化、効率文化、革新文化、双面的リーダーシップ)の役割、個人的要因と個人の双面的行動との関係に影響を及ぼすモデレータ要因(心の知能指数、プロアクティブ特性、外発的モチベーション、ストレス対応能力、職場の心理的安全性)を組み込んだ概念モデルが構築されている。さらに、予備的な調査データによる実証分析を通じて、第1段階で構築された概念モデルの検証を行い、その結果を踏まえ、新たな構成要素を組み込んだ第2段階の概念モデルを再構築している。これら再構築概念モデルについては、(株)インテージへの業務委託から得られたデータを使用し、構造方程式モデリング、階層的回帰分析等の実証分析を行い、興味深い発見事項が得られている。なお、第1段階の概念モデルの検証も含め、学会報告や学術雑誌、学内紀要等への論文投稿も当初の予定を大幅に上回るペースで進捗しており、現段階で第1段階の概念モデルに関するものとして、学会報告1回、学術雑誌及び学内紀要への論文投稿(2編)を終えている(学術雑誌における査読中の論文1編)。現在、第2段階で再構築された概念モデルの検証結果を整理し、学会報告、学術雑誌や学内紀要等への論文投稿を準備している。

Strategy for Future Research Activity

DXイノベーションに関する領域については、新聞や雑誌等で取り上げられた事例、経営学の理論的な先行研究の検討から導かれた考察によって、実態と課題をある程度捉えることはできているものの、新型コロナ感染症拡大の影響もあり、特徴ある取り組みを行っている企業への聞き取り調査は実現できていない状況である。今後は、状況の変化を見ながらにはなるが、DXイノベーションへの顕著な取り組みが見られる複数の企業への聞き取り調査を行い、実態と課題のより詳細かつ正確な把握を行う予定である。一方、本研究の理論的な分析枠組みである個人や組織レベルの双面性の概念モデルについては、理論的な先行研究の検討から大幅に進捗している状況にはあるものの、これまで定量的な実証分析を通じて検証されてきた概念モデルの妥当性や有効性を裏づけるための聞き取り調査はやはり実施できていない。今後は状況の変化を見ながらにはなるが、さらなる精緻な概念モデルの構築に向け、実際の企業や個人に対する聞き取り調査を実施していく予定である。さらに、これまでは双面性のプラスの側面のみに焦点を当ててきたが、特に探索と深化の「切り替え」(複数の仕事の分担、役割の曖昧さ等が生じる)に伴い個人が大きなストレスに直面することが予想されるため、双面性のマイナスの側面も概念モデルの中に組み込む必要があると考えている。また、双面性の成果としてのイノベーションについても、個人のイノベーション創造の成果や職場でのDXイノベーション創造の成果の水準という単純なレベルで捉えてきたが、アイデアの創出、普及・促進、実行といったイノベーション創造のプロセスとして捉える必要性についても考えている。今年度は以上のような点を従来の概念モデルに組み込み、双面性とイノベーションの関係性について説明力の高い概念モデルを構築し、定量的な実証分析を通じて検証を行う予定である。

Causes of Carryover

第1の理由として、新型コロナ感染拡大の影響もあり、特に旅費を伴う地方企業への聞き取り調査を実行することができないため、旅費・人件費の執行が行われなかったことが挙げられる。次年度は新型コロナ感染の状況を見ながら、旅費を伴う地方企業への聞き取り調査を実現していく方向で考えている。第2の理由として挙げられるのは、統計ソフトについて、当初想定していた分析に適うソフトを選定することができなかったこと、さらに購入した統計ソフトも当初の想定よりも低い金額での購入が可能になったことである。第3の理由として挙げられるのは、インターネット・リサーチ会社へのwebアンケート調査及びデータ収集に関わる業務委託が、調査票作成の遅れ並びにインターネット・リサーチ会社の業務繁多により、2021年3月にずれ込んだため、支払い期日が次年度に繰越しにならざるを得なかったことである。次年度新たなアンケート調査を行う際には、業務委託先が繁多にならない時期を選び、早めに業務委託して執行する予定である。第4の理由として挙げられるのは、文具やプリンターのトナー等の消耗品購入の機会がなかったことである。必要な消耗品が出てきた段階で迅速に執行していく予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022 2021

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 個人レベルの双面性とイノベーション創造:従業員の双面的行動と双面的リーダーシップの役割2022

    • Author(s)
      山田敏之
    • Journal Title

      実践経営

      Volume: 58 Pages: 7~20

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 個人レベルの双面性メカニズムとイノベーション創造:組織文化、双面的リーダーシップ、内発的モチベーションの役割2022

    • Author(s)
      山田敏之
    • Journal Title

      大東経営論集

      Volume: 42・43 Pages: 131~152

  • [Journal Article] 書評 オライリー&タッシュマン著『両利きの経営:「二兎を追う」戦略が未来切り拓く』2021

    • Author(s)
      山田敏之
    • Journal Title

      戦略研究

      Volume: 29 Pages: 147~153

  • [Presentation] 個人の双面性メカニズムにおけるクロスレベル分析:先行要因、媒介要因、モデレータ要因、成果要因の解明2021

    • Author(s)
      山田敏之
    • Organizer
      実践経営学会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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