2022 Fiscal Year Research-status Report
The Effects of Work-Life Balance Policies on Corporate Performance
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21K01736
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
千田 直毅 神戸学院大学, 経営学部, 教授 (30583661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三崎 秀央 兵庫県立大学, 国際商経学部, 教授 (30312763)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 組織的公正 / 戦略的人的資源管理 / 働き方改革 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、WLB施策の導入が企業業績向上にいかなる機能を果たすのか、そのメカニズムをを明らかにすることである。より具体的には、企業が推進するWLBの取組について、それらが単なる福利厚生、非金銭的報酬としての位置づけではなく、企業業績に資する戦略的取組として機能するために必要な要件を明らかにしようとしている。この研究課題をふまえ、本研究におけるこれまでの主な発見は、HRM施策としてのWLBの取組が機能する要件として、個別の施策に関する従業員の納得感や公正感だけでなく、組織運営全般に関するより一般的な組織的公正の知覚が、従業員による自社のWLB施策への肯定的評価に繋がることを大量サンプル調査結果に基づく統計分析を用いて明らかにしてきたことである。WLB施策の積極的利用を妨げる要因として、制度利用によって他者に迷惑をかけるという意識から生じる躊躇や、制度利用後に不利益となる処遇を恐れる事により、制度が存在しても活用されないことは既に多くの研究で指摘されてきたが、本研究のこれまでの分析結果から、組織的公正が担保されている事がそうした躊躇を軽減し、WLB施策への肯定的評価に繋がることが明らかになった。 すなわち、企業が整備・導入するWLB施策が従業員から肯定的に受け止められ、積極的に利用されるためには、単にWLB施策を導入するだけでは不十分で、組織における様々な手続、分配に関する公平性を従業員が知覚している事が重要であるということが明らかとなった。2022年度は、前年度の研究成果をふまえつつ、本研究の分析枠組みの更なる精緻化を目指し、新たな大量サンプル調査の実施・分析、論文執筆を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、前年度の調査・分析をふまえた論文を執筆し、査読誌への投稿(掲載決定済)、国際学会での報告を実施した。また、複数企業に対するインタビュー調査を実施し、現在分析中である。しかしながら、コロナ禍の影響により当初予定していた国内企業へのヒアリング調査やアンケート調査の一部は行えていない状況であり、全体の研究計画としては若干の遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、これまでの研究成果をふまえながら、WLBの戦略的取組が企業業績に寄与する理論を構築するための新たな分析枠組みを検討する。組織的公正以外の要因にも着目しながら仮説を設定し、その検証のための新たな大量サンプル調査、インタビュー調査の実施と分析を経てその結果を論文にまとめ、投稿する準備を進めている。企業パフォーマンスと従業員のWLB実現がいかにして両立するかを実証的に明らかにしていくことで、近年官民をあげて検討・推進がなされている働き方改革の取組に対する理論的・実践的インプリケーションを含意する研究成果を提示することを目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により、当初に計画していた調査等がいくつか行えていない事があり、当初計画と実際の使用額に差異が生じている。2022年度に使用されず繰り越されたものについては、2023年度に改めて調査を計画、実行する際に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)