2022 Fiscal Year Research-status Report
内部監査との機能的類似性に着目した書面添付制度の信憑性醸成効果に関する研究
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21K01792
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
越智 信仁 関東学院大学, 経営学部, 教授 (70758771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蟹江 章 青山学院大学, 会計プロフェッション研究科, 教授 (40214449)
金子 友裕 東洋大学, 経営学部, 教授 (80530071)
坂根 純輝 長崎県立大学, 経営学部, 准教授 (40738001)
佐久間 義浩 東北学院大学, 経営学部, 教授 (20512065)
中村 元彦 千葉商科大学, 会計ファイナンス研究科, 教授 (20778568)
橋上 徹 県立広島大学, 地域創生学部, 准教授 (20733299)
林 隆敏 関西学院大学, 商学部, 教授 (50268512)
弥永 真生 明治大学, 会計専門職研究科, 専任教授 (60191144)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 中小企業決算開示 / 中小企業会計要領等 / 書面添付制度 / 税理士 / 信頼性 / 信憑性醸成効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年度においては、研究最終年度に向け、制度的・理論的・実践的研究を深める土台として、非上場中小企業の決算書の信頼性が様々な外的要因によってどのように変化するか、金融機関等の利害関係者の現状認識について、研究初年度に実施した質問票調査の結果を定量的・実証的に分析した。すなわち、金融機関向け(計707通回収)と中小企業会計学会向け(102通回収)のデータを基にした分析結果について、2022年11月に、中小企業会計学会第10回全国大会(明治大学)の研究報告資料として配布するとともに報告した。 そこでは、作成基準の明確化によって信頼性の付加価値の増分が有意に高まり、とりわけ中小企業会計要領等の会計基準準拠によって、信頼性の水準は約6割(金融機関分58%、学会分59%)まで高まることが明らかになった。また、税理士の期中関与(月次決算・経理指導等)が行われている場合、78%(金融機関分)、76%(学会分)と共に高い信頼性向上の付加価値を生むことが、定量的に確認できたことも特筆される。税理士の期中関与により8割近い信頼水準が確保可能であるとすると、監査保証の立法的・制度的建付けの検討を進める必要性と同時に、事実上の信頼性確保の手段である税理士関与を高める方策を検討する意義も大きいと言えよう。 決算開示の信頼性や書面添付の効果等に関する全国規模での質問票調査は、わが国で初めてではないかとみられるが、定性的な印象論が少なくない中にあって、幾つかの定量的事実や分析結果を提供できたことは、今後の研究蓄積に向けた基礎情報として一定の学術的貢献が認められるのではないかと思慮している。最終年度に向けては、質問票調査で寄せられた定性コメントも踏まえつつ、金融機関への追加ヒアリング、理論的なバックグラウンドや実務的視点を交えた掘り下げを進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展しており、これまでの定量調査結果を基に研究3年目においては、制度的・理論的・実践的研究を深めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度の2024年3月には研究成果を公刊できるよう、研究の取りまとめを進めるととともに、出版社とも具体的なスケジューリングを併行して行っている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の残存から国内外の学会等出張が先延ばしになったもの。2022年度末から2023年度にかけ対面再開が見込まれ、一部は既に予約済み。
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Research Products
(3 results)