2021 Fiscal Year Research-status Report
Acceptances of Foreign Industrial Workers into Aging Rural Areas in Japan: Japanese Brazilians, Technical Interns and Policies of Local Governments
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21K01888
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
上林 千恵子 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (30255202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚崎 裕子 大正大学, 社会共生学部, 教授 (70334638)
眞住 優助 金沢大学, GS教育系, 講師 (50747582)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日系ブラジル人 / 外国人技能実習生 / 高齢化地域 / 製造業の人材確保 / 自治体の多文化共生政策 / 自治体の外国人雇用施策 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の2021年はコロナ禍の影響もあって調査が難しかったが、2021年6月に福井県越前市訪問と第1回研究会の開催、2022年岐阜県飛騨市調査、2022年3月福井県福井市へ訪問し、福井県庁ヒアリング、越前市の福井村田製作所ヒアリングを実施した。 福井県を調査対象とした理由は、本県が製造業を主たる産業とし、またその製造業の繁栄のために積極的に外国人労働者の雇用を促進する政策を実施しているからである。 福井市越前市は外国人住民の割合が高く、人口83千人のうち、外国人住民は4.2千人とおよそ5%に達している(2018年数値)。これは越前市で操業する世界的電子部品メーカ―のA社が自社の請負労働者として機械操作工の職種に日系ブラジル人を受け入れているからである。彼ら日系ブラジル人がコロナ禍でブラジルから募集できない期間、A社は請負会社2社を通じて、生産協力金との名目で50万円の一時金を就職時に上乗せして日本各地から広域に募集した。しかし契約時の最低3か月の期間を過ぎると離職する人が多く、2022年3月時点ではやはりブラジルから直に採用して越前市に配置する方法に戻ることにし、入国制限の緩和が行われれば、採用待機者が400人もブラジルから入国予定とのことであった。従来は、一般的に日系ブラジル人の離職率の高さが指摘されていたが、今回調査では、日系ブラジル人の方が定着率が高いと評価されていることが分かった。 ここから判明したことは、第1に、製造品目は高い技術レベルを持つが、製造工程は非常に労働集約的で、生産量の拡大がそのまま雇用人員の増員につながっているという日本の電子部品産業の特徴である。A社は優良企業であるだけに、賃金は地場の中小企業よりもはるかに高いが、賃金の高さだけでは人の募集ができないところまで、高齢化地域は人材が払底している段階に達している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
越前市で日系ブラジル人を3000人以上も1社で雇用しているA社にヒアリングを実施できたことが、順調に進展していると判断した根拠である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、A社と同じく越前市で外国人労働者を雇用している企業にヒアリングをし、地域労働市場における外国人労働者の位置づけを明らかにすると共に、実際に日系ブラジル人を雇用している製造請負会社2社に対してもヒアリングを試みる計画である。また日系ブラジル人は越前市の特定地域に集住しているために、特定地域の保育園も彼らの児童が入園しており、そうした保育園の実態や市役所への要望などを精査することにより、日系ブラジル人の生活ニーズの内実と、生活支援の在り方を具体的に見ていく。ここで予想される仮説は、彼らのニーズは多文化共生としてくくられるような日本語教育を含む文化的なものではなく、保育園入園などで実現される雇用支援なのではないか、ということである。すなわち、来日当初は出稼ぎ者として来る人を前提とするならば、彼らにお金を稼ぐ機会を提供することこそが彼らの支援となる、という考え方である。日本語教育はその支援のための1つの手段に過ぎないのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、2021年8月に予定していた調査が実施できず、旅費が使用できなかった。そのため、2021年度の旅費予算を2022年度分として繰越し、調査予定のなかった2023年も調査を実施する予定である。
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Research Products
(5 results)