2022 Fiscal Year Research-status Report
被虐待経験を有し家庭で育った子ども・若者の自立支援の課題の検証
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21K01959
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
梅谷 聡子 日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (20877063)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トラウマ / トラウマインフォームドケア / 成人期への移行 / 児童虐待 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、昨年度に引き続き、児童虐待を受けた経験が成人期の移行に与える影響と支援について、文献研究を行った。その結果、「トラウマの影響を理解し、それにしっかりと対応するためのストレングスを基盤とした枠組み(亀岡2020:164)」であるトラウマインフォームドケア等「支援者」が実践する専門的ケアと、在宅で生活する子どもや若者の日常生活場面におけるインフォーマルなケアが一体的に行われる必要性が示唆された。 さらに、自治体の教育相談室にて高校卒業までの子どもを対象に、教育相談を実践されている方へインタビュー調査を実施した。教育相談の利用者は、社会的養護等の公的支援につながらず、何とか成長してきた子どもや保護者がほとんどであり、教育相談の現状から「困難な家庭に伴走する存在の少なさ」が指摘された。ソーシャルワークの専門的支援には「終結」があり、それが子どもの成長ペースや状況の変化に柔軟に対応しながら家庭を支えていくうえで困難を生じさせる点が課題として明らかになった。 本年度の研究成果をもとに、今後は、児童虐待を受けた子ども・若者への専門職による支援の意義と限界を整理し、子ども・若者の専門職以外のインフォーマルなつながりがどのように形成され、成人期への移行にどのような影響を与えるかに焦点化していく。そのため、今後は、児童虐待を受けて家庭で育った子ども・若者のケースのプロセスを検討し、虐待の影響からの回復に有効な環境要因について研究を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実施計画では、相談援助専門職や当事者である若者へのインタビュー調査を完了する予定であったが、所属研究機関の異動等があり、予定していた調査が十分に実施できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、これまでの未実施である調査を実施する。まず、自立援助ホームの職員へのインタビュー調査を実施し、社会的養護等の公的支援を受けずに在宅で生活し、成人期への移行期に自立援助ホームに入所した若者のケースの特徴について検討する。また、当事者である若者へのインタビュー調査を実施する。研究成果は学会にて口頭発表を行い、論文にて公表する。
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Causes of Carryover |
過去2年間に未実施のインタビュー調査があるため、次年度、それらの調査を実施する際に助成金を使用させていただく。
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