2023 Fiscal Year Research-status Report
被虐待経験を有し家庭で育った子ども・若者の自立支援の課題の検証
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21K01959
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
梅谷 聡子 花園大学, 社会福祉学部, 講師 (20877063)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自立援助ホーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、被虐待経験があり家庭で育った若者が抱えている不利・困難と必要としている自立支援を明らかにし、その際、とくに社会的養護から自立する若者が必要とする支援との違いに着目するものである。 2022年度は、自立援助ホームの職員へのインタビュー調査を実施した。自立援助ホームは、10代後半で、社会的養護の措置変更と家庭から入所する子どものどちらも利用できることから、彼、彼女らと接する自立援助ホームの職員の視点から、子どもの入所前の生活経験と、入所以降に子どもが表出する課題・支援の関連性を明らかにすることが調査目的である。2022年度中に、7施設、15名の方への調査が完了した。 現在、分析の途中であるが、以下の点について着目して研究を進めている。15歳以上で虐待を理由に自立援助ホームに入所した子どものケースも、もとは虐待ではなく子育ての失調であった。適切な時期に支援が行き届いていれば、虐待の重度化を防ぐことができた可能性がある。しかし、家庭の孤立状況や情報提供の不足、子どもの一時保護への抵抗感等から、支援につながることが選択されない場合があった。また、家庭で育つ子どもが自らの家庭での経験を客観的に理解するには、他者との対話が必要であり、自立援助ホームの職員は限られた入所期間で子どもと様々な対話をしたいと考えていた。さらに、10代後半で支援につながる子どものアセスメントに必要な情報の不足もあり、自立支援における情報収集とその後の支援プロセスの課題が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査協力者の選定と調整に時間を要し、当初の計画よりも進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在行なっている自立援助ホームの職員へのインタビュー調査の分析結果をまとめるとともに、被虐待経験があり家庭で育った若者へのインタビュー調査を実施する。
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Causes of Carryover |
当該年度までに予定していた調査が未実施であることや、それに伴う成果発表に遅れが生じているため、次年度使用額が生じた。今後は、被虐待経験を有し家庭で育った若者へのインタビュー調査(10名を予定)と、子どもに関わる専門職へのアンケート調査を実施するために使用したい。
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