2023 Fiscal Year Annual Research Report
里親制度による里子の自立実態に関する実証的研究:元里親子の生活実態と関係把握から
Project/Area Number |
21K02042
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Research Institution | Sapporo Otani Junior College |
Principal Investigator |
今西 良輔 札幌大谷大学短期大学部, その他部局等, 准教授 (60746478)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 里子 / 社会的養護 / 自立支援 / 里親制度 / 措置解除後 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、措置解除後も里親を頼っている元里子は存在していると予想され、里親個人が支援している状況にあると考えており、日本は、里親個人のボランティア性に頼っている部分がある。これからの社会的養護の子ども達を健やかに育み自立を促していくためには、里親制度自体のあり方をこれからの子どもや社会情勢を踏まえ再検討する必要があるのか、必要な支援策の拡充が必要なのか、里子の視点を踏まえて必要な支援策の拡充などについて検討することを目的としている。 調査は、児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査結果を参考に、児童相談所、里親会へのヒアリングを通して里親へのアンケート票、インタビュー調査を配布し、調査を実施した。元里子へのインタビュー調査については、里親家庭から郵送してもらい、協力者を募って実施した。対象者選定の困難さとコロナの影響により調査時期にかなり影響を受けた。 里親は、制度的保障がない中でも大人に向けたサポートは、可能な限り叶える方向で努めていること、大学入学など進学から就職というビジョンを描きながら、元里子を支える様子も窺えていた。そこには苦労も垣間見えていた。しかし、措置解除後も細く繋がりを保っている存在になっていた。 元里子は、里親家庭で生活を送っている中、早く自立をしなければならないという意識になっているなどこれから先については、どこか早く自立しなければという状態があり、その後、里親から別の選択が提示されるとことにより、視野が広がるような様子も窺えていた。里親の存在の大きさが強く感じられた一方で、それ以外の大人の存在が見えにくい状況がわかった。そのため各里親家庭の個別性の高さもあった。どの里子も自立に向けて、里親子に選択肢を与えられる大人が理解と関わる機会を増すなど、里親子からの支援を検討するための要点を得ることができた。
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