2023 Fiscal Year Annual Research Report
学校における企業の教育活動と公共の利益に関する国際比較研究
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21K02165
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
上杉 嘉見 東京学芸大学, 先端教育人材育成推進機構, 准教授 (10451981)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 恵美子 関東学院大学, 経営学部, 教授 (20375215)
小島 優生 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (40433651)
中田 有紀 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (30553771)
両角 達平 日本福祉大学, 社会福祉学部, 講師 (10831703)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公教育 / 公共の利益 / コマーシャリズム / マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は1~2年目に行った諸外国を対象とした研究のまとめを中心に行った。その一方で,2年目から着手した日本の学校における企業の教育活動についての研究は,最終年度も引き続き実施した。具体的には,今日見られる金融経済教育を含む消費者教育への企業の関与について,この分野に関係する研究者が,アメリカでの事例や議論に即しつつ,どのように評価してきたかを,1950年代から80年代の論考をもとに確認した。アメリカでの企業の教材作成・頒布活動をめぐっては,宣伝の意図や不正確な記述などが問題になっており,そうした状況は研究者によって紹介されてはいたが,特に1980年代には日米の消費者教育の発達の違いを理由に,日本で教材を作成する企業を批判する余裕はないと主張された。このように,日本の消費者教育分野で企業の関与が定着した背景には,専門家によるアメリカ情報の選択的な受容ならびに発信があったことが明らかにされた。この研究発表は2023年7月開催の日本カリキュラム学会で実施した。 研究期間全体の成果は次の通りである。 北米の教育研究で問題にされてきた,予算の不足する学校が,企業から金銭に加え物的・人的リソースの支援を受けることと引き換えに販促活動の場となる「学校におけるコマーシャリズム」の現象は,スウェーデン,韓国,インドネシアでは見られないようである。このように,本研究の範囲では,企業が学校教育への支援と引き換えに児童生徒への販促活動に励む事象は今日の世界では未だ普遍的でないとの結論が得られた。とはいえ,上記の3カ国には,私企業が学校の運営主体になったり,高校段階の職業教育に参加する制度があるなど,企業が公共的な教育空間に迎え入れられており,今後の展開を注視していく必要がある。 以上の研究は成果論文集としてまとめ,東京学芸大学リポジトリに登録・公開済みである。
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Remarks |
その他の研究成果は以下の通り。 『学校における企業の教育活動と公共の利益に関する国際比較研究成果論文集』2024, http://hdl.handle.net/2309/0002000356
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Research Products
(3 results)