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2021 Fiscal Year Research-status Report

Verification of the Usefulness and Validity of the Ethnometry Method through its Application to the Analysis of Moral Education

Research Project

Project/Area Number 21K02170
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

藤川 信夫  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10212185)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 丸橋 静香  島根大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10325037)
Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords身体表現 / 自分ごと化 / 道徳
Outline of Annual Research Achievements

島根県の公立小学校において、エスノメトリー法による分析のためのデータ収集を行った。具体的には、2台のデジタルビデオカメラにより、小学校4年生の1クラスの「道徳」授業について、合計8回の授業の撮影を行った。エスノメトリー法の特徴の一つはデータ収集時の研究協力者への負担の最小化にあるが、実際、コロナ禍のもとで研究者が授業現場に入ることができない状況であったにもかかわらず、授業担当教員自身がビデオ撮影を行うことで特に支障なくデータ収集を行うことができた。
さらに、授業担当教員2名から、「自分ごと化」を示す行動指標についてインタビューを行い、測定対象となる行動指標を定めるとともに、各回の授業について「自分ごと化」に向けた働きかけを行った場面を特定した。このインタビューについてもZoomを用いることで研究協力者への負担を軽減することができた。インタビューからは測定対象となる7つの行動指標を定め、その後、「自分ごと化」に向けた教師からの働きかけの前後5分間の動画データを静止画に変換し、1回の授業につき約100枚、分析対象となる合計800枚の静止画(写真)を得た。
その後、学生アルバイトによる測定・分析作業を開始し、現時点で、大凡半分程度の作業を終えたところである。
なお、授業担当教師へのインタビューを追加し、クラス中の特に「気になる」児童について尋ねることで、後に加重平均操作を加えるための準備も行った。加重平均操作は、研究遂行中に新たに生じた着想によるものであり、分析データを可能な限り授業担当者から見たリアリティに接近させるために役立てることができると思われる。
最後に、2022年度秋の教育哲学会大会のシンポジウム(課題研究)において、中間成果を公表することとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度には、[1]道徳科の授業において、学習内容が他人事としてではなく「自分ごと」として受け止めることができた場合、児童はそうした変化をどのような可視的行動(身振り・手振り・表情)として表現する(と教師は考えている)のか? [2]そうした身体表現は一つ一つの授業の中で、さらには長期的な授業の経過の中でどのように推移するのか? という二つの研究設問を探究する計画であった。
[1]については授業担当教師からのインタビューにより7つの行動指標を得ることができた。[2]の探究のために必要な分析作業については、加重平均操作用に分析作業項目を増やしたためいまだ完了していないが、概ね順調に進捗している。
なお、本調査方法の妥当性の検証には、授業終盤で児童が作成した感想文を用いる予定であったが、これに加えて授業担当教師に対し各回の授業の成否の印象につき10段階評価を依頼した。これによて得られたデータも妥当性検証に際して追加資料として用いることが可能となった。さらに、全8回の授業は若手とベテランの2人の教師によって担当され、うち半ばの2回については若手教員対する研修の意味でベテラン教師が担当した。よって、この調査によって得られたデータにより、各回における「自分ごと化」の効果を示すとともに、全8回を通してその効果を比較することで構内研修の効果を明らかにすることも可能になった。これにより、本調査方法の活用の可能性が拡張されることになった。また、2022年度の教育哲学会シンポジウム(課題研究)にて研究成果の中間報告を行うことも可能になった。
以上の通り、静止画(写真)分析作業の進捗は若干遅れているものの、本調査方法の妥当性検証作業の質的向上及び活用可能性の拡張をもたらす新たな展開が見られ、さらに中間報告の機会も得られたため、「おおむね順調に進展している」とした。

Strategy for Future Research Activity

[1]各回の授業について、授業担当教師による10段階の授業の成否に関する自己評価データが得られたため、児童が作成した感想文とともに、本調査方法の妥当性を検証する際の参考資料として用いることにする。
[2]各回の授業における、教師からの「自分ごと化」に向けた働きかけの効果を数値化するのみならず、ベテラン教師によるモデル授業の前後のデータを比較することで、構内研修の効果をも数値化することとする。
[3]2022年度には、これまでの研究成果の中間報告を教育哲学会シンポジウムにおいて行うこととする。
[4]本調査方法の長所の一つは、授業の成否を判断する参考となる児童生徒の身体表現の変化に関するデータを、特別な専門的知識・技能なしに簡易に得られることにある。この「簡易さ」を示すため、2022年度には、とくに身体表現に敏感であると思われる舞台俳優及び聴覚障がい者に、静止画(写真)の測定・分析作業を依頼することとした。一般的な測定・分析者(学生アルバイト)と、特に身体表現に敏感であると思われる測定・分析担当者から得られたデータを比較し、少なくとも児童の身体表現の増減のパターンが類似していることが明らかになれば、測定・分析作業に際して特別な専門的知識・技能が必要ないことを示すことができるはずである。
[5]その他の点については、当初の研究計画に即して研究を進める。

Causes of Carryover

授業静止画(写真)測定・分析作業が遅れているため人件費・謝金の予算につき次年度使用額が生じた。コロナ禍により旅費を使用せずオンラインでの打ち合わせ及びインタビューを行ったため旅費予算につき次年度使用額が生じた。
授業静止画(写真)の測定・分析作業については、2022年度に作業担当者を新たに数名増やすかたちで完了する予定である。なお、これによって研究計画執行上特に問題は生じない。また、旅費については2022年度に行う学会発表(研究成果の中間報告)に際して使用する予定である。

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Published: 2022-12-28  

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