2021 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Research on Literacy Activities in Buraku Communities Looking forward Adult Basic Education in Japan
Project/Area Number |
21K02171
|
Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
森 実 大阪教育大学, 教育学部, 名誉教授 (10174385)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上杉 孝實 公益財団法人世界人権問題研究センター, その他部局等, 嘱託研究員 (90031707)
岩槻 知也 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (60263191)
新矢 麻紀子 大阪産業大学, 国際学部, 教授 (70389203)
菅原 智恵美 大阪市立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (60896596)
棚田 洋平 一般社団法人部落解放・人権研究所(調査・研究部), 企画・研究部, 研究員 (00639966)
岡田 耕治 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40321921)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 被差別部落 / 識字学級 / 全国調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2021年度から2023年度の3年間にわたる研究であり、2021年度はその1年目に当たる。計画によれば、2021年度内の研究活動は調査質問紙の作成と配布、回収とデータ入力が中心となっている。そのため、今の段階では調査報告書や論文などのかたちで成果が現れているわけではない。以下、調査の進捗状況などを中心に述べることとする。 2021年度は、ちょうど新型コロナ感染症が広がり、識字学級の開設が困難な時期に重なったため、調査に協力いただくにはむずかしさが発生した。調査を的確に行うため、一方で、全国隣保館協議会や部落解放同盟などの協力を得て、調査対象となり得る全国の隣保館や学級について発送先住所などの基礎データを提供していただいた。他方で、「全国識字学級実態調査」の質問紙づくりを2021年4月から8月にかけて行った。質問紙づくりについては、2018年度頃より議論を積み重ねてきたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を勘案して、調査内容はさらに吟味が必要となった。2021年8月末に質問紙が完成し、送付対象者の住所なども集約できた段階となったので、2021年9月に調査対象教室に向けて郵送で質問紙を発送した。質問紙は2021年10月末日を返送の締め切りとし、大阪教育大学に返送してもらうとともに、必要に応じて督促などを行った。その結果、2022年4月1日現在で181の回答を回収している。回収作業と並行して、回収された回答のデータ入力作業を進め、2022年4月20日時点で全データの電子媒体への入力作業を終えたところである。これからデータのクリーニングを経て、データ分析に進む予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」においても述べたところだが、本研究は、2021年度から2023年度の3年間にわたる研究であり、2021年度はその1年目である。当初の計画で、2021年度内の研究活動は調査質問紙の作成と配布、回収とデータ入力が中心となっていた。新型コロナ感染症が広がり、識字学級の開設が困難な時期に重なったため、調査に協力いただくにはむずかしさが発生した。拙速に調査を行うのではなく、ていねいに新型コロナに対応する手立てを工夫し、2018年度の実績と2021年度の実績を記入するなどして、実施に当たった。全国隣保館協議会や部落解放同盟などの協力を得られたことにより、調査対象となり得る全国の隣保館や学級について発送先住所などの基礎データを得ることができた。その一方で、会議を重ね、「全国識字学級実態調査」の質問紙づくりを2021年8月までに行った。新型コロナウイルス感染拡大の影響を勘案して、調査内容をさらに吟味した。2021年8月末に質問紙が完成し、送付対象者の住所なども集約できた段階となったので、2021年9月に調査対象教室に向けて郵送により質問紙を発送した。質問紙は2021年10月末日を返送の締め切りとし、大阪教育大学に返送してもらうとともに、必要に応じて督促などを行った。その結果、2022年4月1日現在で185の回答を回収している。回収作業と並行して、回収された回答のデータ入力作業を進め、2022年4月20日時点で全データの電子媒体への入力作業を終えたところである。これからデータのクリーニングを経て、データ分析に進む予定である。この通り、本調査は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも、当初の計画通り実施に至ることができた。回収状況などからも、これから本格的な分析作業に進むことが期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
本調査は、質問紙調査の実施と回収については、ほぼ計画通りに実施することができた。調査メンバーの協力体制がうまく進んだ成果である。今後については、大きくは2つの推進方策があり、それぞれに作業と分析の内容や方法が大きく異なる。 第1は、回収した質問紙の分析である。すでに調査データの入力作業は完了しているので、これからデータのクリーニングを経て分析作業を進めることになる。質問紙調査の報告は、2022年度中に行いたいと考えているので、そのために迅速な分析作業が求められることとなる。分担しての分析作業と報告書づくりがポイントとなる。調査に関わっているメンバーのいっそうのチームワークが重要になろう。 第2は、特徴的な教室を抽出し、インタビュー調査を行うことである。一つの手がかりは11年前に行った調査でインタビュー対象となった教室である。これは九州から東京にまで広がっている。今回のインタビュー調査では、それらを候補としつつ、それ以外にもインタビューする教室を広げる計画である。予算との兼ね合いも意識しつつ調査対象教室を決定していくことになる。 インタビュー調査を行ううえで、困難の一つとなっているのは新型コロナウイルス感染拡大がなかなか収まらないことである。とくに、識字学級で学ぶ人たちのなかには高齢の方たちもおり、離れた場所からの訪問は気をつける必要がある。とくに私たちの調査メンバーの多くは、新型コロナウイルス感染拡大が著しい大阪に拠点を置いているので、この点への配慮は重要となる。
|
Causes of Carryover |
調査実務を担った大阪教育大学における支出残額は15,002円であり、予算のほとんどを使用している。総残額の135,002円のうち120,000円は、研究分担者への分担金の残額である。各分担者への研究費を30,000円ずつとしていたのは、主として資料の購入費や会議などに関わる交通費分であった。今年度の場合、新型コロナウイルス感染拡大により、会議を対面で行うことができず、ほぼすべてZoomによりオンラインで開催することとなった。このことなどにより、会議のための交通費などを使用する必要がなく、また改めての資料を買う必要のない分担者が多かったため、このような結果になった。元の計画において次年度には、「質問紙調査の結果をふまえて特徴的な識字教室を抽出し、それらの教室に訪問のうえインタビューなどを行う」ことと計画されており、基本的な点で変更の必要はない。すなわち、質問紙調査の分析のため、書籍などを購入し、会議を重ねる必要があり、また、各地に出向いてのインタビュー調査を行うので、「次年度使用額」135,002円はこれらの使用に充てることが計画されている。
|