2021 Fiscal Year Research-status Report
社会的困難の集中する地域における若年者の社会的自立を支える実践の構想に関する研究
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21K02256
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
木戸口 正宏 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (90405093)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的自立 / 貧困 / 子ども / 若者 / 支援実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルスによる感染拡大が続き、移動等にかかわる制限があったため、今年度は主に資料の収集および主たる調査対象地域である北海道釧路市での学習支援の取り組みへの参与観察などを中心に行うとともに、収集した資料に基づき、いくつかの報告および論考を執筆した。 第一に子ども・若者たちの生活において、幅広く困難な状況が見受けられることが改めて明らかになった。こうした困難は、コロナ禍以前からの構造変容のもとで潜在的には広がっていたものであったが、コロナ禍とそれによる経済的困窮の深まりによって、改めて社会的な問題として顕在化したものであると考えられる(こうしたことに加え、他者との交流や自由な外出・行動制限などがもたらす心身への負荷なども影響を与えていることが推察された)。 第二に、子ども・若者支援の現場においても、コロナ禍は「集まること」「交流すること」などにさまざま制約を生み出していること、そうしたことが、とりわけ他に頼ることのない家族や子どもたちの孤立や困難を生み出していることが、浮かび上がってきた。 こうしたなかで、子ども・若者支援の現場では、支援に入るスタッフやボランティアの学生も含めて、さまざまに感染対策を行いながら、子どもたちの居場所・学びの場を確保しようとする努力を続けていた。 第三に、そうした状況のなかで、遠隔地の子どもたちへのオンラインでの学習サポートの提供や、インターネット上の音声配信や掲示板などを通した交流の場の活用などによって、現在の状況のもとで可能な、新たな「つながり」を創造しようとする試みも活発になっていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍による移動・行動制限もあり、特に出張を伴う調査や研究発表は難しい状況にあった。対面での調査も、当初の予定に比べると(対象となる活動の一時休止などがあったこともあり)計画よりも遅れがちであった。 その分資料収集および研究環境の整備に重点を置き、作業を進めていった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き感染対策等に配慮しつつ、可能な範囲で、少しずつ調査活動を再開していきたい。 当面は、釧路市の学習支援事業への参与観察を進めつつ、関係者や当事者への聞き取りを、現在の状況で可能な形で実施していくことにしたい。 また関連して参加している共同調査研究(若者支援・ユースワークに関わる専門性の育成・評価をめぐる国際的共同研究)から得られた知見も適宜活用するとともに、社会的資源や専門家が必ずしも十全には存在しない道東地域の特性を踏まえた支援のあり方についても検討を進めていきたい。
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