2022 Fiscal Year Research-status Report
主体的エンパワメントの可視化:多様な声と場所をめぐる外国人生徒との批判的実践研究
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21K02280
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 聡子 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (90737701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 綾子 千葉大学, 大学院国際学術研究院, 准教授 (20720030)
徳永 智子 筑波大学, 人間系, 准教授 (60751287)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 居場所 / 外国人生徒 / YPAR / エンパワメント / 批判的実践研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、トランスナショナルな状況下で国家間を移動する子ども達が、調査者とともに、自分の置かれている環境や状況についてアクティブな行為主体(エージェンシー)として認識することを通して、アイデンティティや居場所について捉え直し、「主体的エンパワメント」につなげていくのかを可視化させる批判的実践研究である。初年度に引き続き2022年は、海外調査はままならなかったが、研究実績は以下の2点である。 第一に、4月、10月に高校受験を控える外国につながる生徒たちと既に高校に進学した生徒ら10名とカメラやイメージマップを使ったワークショップを実施した。4月と10月は、昨年度も参加した高校進学を控えた子ども達とのワークショップ、11月は年度途中での状況についてのワークショップを実施した。一方、11月は来日直後の子ども達と歴史博物館へのフィールド調査、自らのルーツや生活・興味に関わるモノや場所の写真をポラロイドカメラでおさめ、それらをポスター上に整理し、タイトルをつけて共有し合いながら、故郷や今の生活環境に関する認識を内省・表象した。昨年度のワークショップに参加した卒業生らも引き続き参加していることから、新しい生徒との縦のつながりの形成にも寄与した。 第二に、文献調査を進め、共同研究者間での研究会を2回実施した。研究会ではワークショップの企画や振り返りをし、次年度以降の展開についても検討した。 また、国内の中学校や高校での外国につながる子ども達の居場所の現状を探るため、中学校4校と高校2校への訪問を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、本研究に重要な論文を読みつつ、昨年度から実施しているワークショップの内容やデータ、成果物の方向性についての議論を重ねた。若者参加型アクションリサーチ(YPAR)の実践研究を事例とする文献調査、国内及び北南米YPAR研究者らへの聞き取りを多少行なうことができたが、YPAR実践の場の訪問・観察は実施できなかった。 4月と10月に高校進学を目指して日本語を学ぶ子ども達と高校在学中の生徒ら合わせて10名程度と、本格的にワークショップを実施した。11月は、歴史博物館でのフィールド調査から、自分たちが捉えたホームや今の生活環境やコミュニティについて、写真を撮り、それを媒体に千葉大学生と共に話し合いをした。 令和4年度は昨年度からの参加者が多く、着実に子ども達とのラポールを形成できた。また、最終年度の成果物としてフォトブックを作成することとし、その内容に関する方向性も議論した。また、データ分析を進め、令和5・6年度に学術会議や論文にて成果発表を行うよう準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度からの調査の過程でティーン向けの日本語教室や授業などに関わることで、何か具体的に今日本語を学んでいる子ども達のためになるようなものとしての成果物の形を議論し、フォトブックの作成を行うこととし、令和5年度4月に子ども達との作戦会議を行なった。6月と7月にカメラワークショップを行い、後半にそれを冊子にしていくためのワークショップを3回実施予定である。フォトブック制作過程で研究参加者の子ども達と共にワークショップを重ね、データを収集し、その分析も進めていく。 また、5月に大阪にて外国人生徒が多く在籍する高校三校を訪問し、夏以降にコロンビアのYPAR研究者らを訪問し、実践の場に参加する。 さらに学術的な貢献として、共同研究者とともに異なるYPAR研究の場での相違点の背後にある社会的要因や構造、今後のYPAR研究の展開の可能性及び課題に関して成果発表を目指す。
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Causes of Carryover |
令和4年度は予定していた海外調査地でのコロナの状況が影響し、調査が限られていたことから、ほぼ旅費を使用しなかった。また、国内調査についても日程調整が難航し、次年度に繰り越すこととなった。令和5年度はすでに国内調査の日程は確定しており、海外調査についても相手側と調整済みであることから、繰越の予算を使用する。また、国内のデータ収集ではワークショップを実施するための人件費、物品費、さらに成果物の印刷費用にも充てる。
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Research Products
(1 results)