2021 Fiscal Year Research-status Report
ケア・リーバーである大学生のピア・サポートプログラム構築のための調査研究
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21K02325
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
上田 裕美 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80302636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 恭弘 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20530728)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ケアリーバー / 児童虐待 / 居場所の支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、ピアサポートを含むケアリーバーへの居場所の支援の特色と課題を明らかにすることを目指した。まず、児童養護施設以外の場における居場所支援の特色や課題を把握するために、退所児童等アフターケア事業等を行う事業所41か所を対象に、郵送で質問紙調査を行った。その結果、22事業所から回答を得ることができた(回収率約53.7%)。そのうち、17事業所がサロン等の居場所支援のための活動をしていること、運営の主体は支援者または支援者と利用者の共同で行っている場合が多いことがわかった。また、利用者が安心して過ごすことができるよう、個人情報の保護や自他を傷つけない配慮等のルールを明文化している事業所があることも把握された。居場所の支援のための活動内容は多彩であり、食や行事を共にする工夫が行われているケースも把握された。支援を行うための困難としては、資金と人員配置、集団づくりと援助の難しさ、リーダーシップを発揮する当事者の育成、などの問題が把握された。また、居場所の支援のねらいとして、利用者の孤独や孤立感を解消し、困難や大変さを分かち合える人間関係を築くことが重視される傾向が明らかになった。また、利用者との「つながりを維持し続けること」が支援の基本であり、直接の物資支給やアウトリーチを伴う場合があることが特色として把握された。COVID-19下では支援も影響を受け、食の宅配や助成金の活用や他事業所との連携などによって困難を乗り越えようとしていることが把握された。この調査の結果は、現在大阪教育大学紀要に投稿中である。また、質問紙調査の結果で得られた回答への理解を深めるために、社会的養護の当事者4名へのインタビュー調査を行った。当事者であり支援者であることに関する経験を聞き取った。インタビュー調査の結果については、現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度である2021年度においては、ケアリーバーにおける当事者間支援の現状や特色、ねらいを把握することを目指した。そのため、社会的養護の施設を退所した者等を対象に退所児童等アフターケア事業を行う事業所を対象に、当事者間支援を含めた居場所の支援について尋ねるための質問紙調査、および当事者であり支援者として活動される方へのインタビュー調査を計画した。 当初の計画通り、これらの2つの調査を実施することができた。質問紙調査の結果は現在大阪教育大学紀要に論文として執筆・投稿中であり、インタビュー調査の結果は現在分析中である。そのため、概ね順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ケア・リーバーである大学生を対象に、ピア・サポートのニーズを把握するのための質問紙調査を実施することを計画している。また、ピア・サポートの具体的な内容を検討するために、ケア・リーバーである大学生当事者の意見聴取を行うことを計画している。意見聴取は対面で行いたいが、COVID-19下の状況によってはオンラインで実施したい。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、予定していた出張(東京)を次年度以降に延期したため、次年度使用額が生じた。状況を見ながら、今年度は東京出張を行うことを計画している。
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