2023 Fiscal Year Annual Research Report
ケア・リーバーである大学生のピア・サポートプログラム構築のための調査研究
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21K02325
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
上田 裕美 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80302636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小崎 恭弘 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20530728)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ケアリーバー / 居場所支援 / ピアサポート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、青年期のケアリーバー(社会的養護のケアを離れた人達)への支援として、ピアサポート(当事者活動)に着目し、聞き取りと質問紙調査を通して、社会的養護経験者におけるピアサポートプログラムを作成するための知見を得ることを目指した。 研究期間初年度にあたる2021年度は、児童養護施設以外の場においてケアリーバーへの居場所支援を行うアフターケア事業所41か所を対象に質問紙調査を行い、社会的養護における居場所支援のねらいと特色を明らかにした。また、研究期間2年目にあたる2022年度は、当事者活動に取り組む者を含む当事者4名を対象にインタビュー調査を行い、当事者が活動につながるまでの経験や当事者活動に関する考えを把握することを目指した。 最終年度にあたる2023年度は、青年期のケアリーバーにおけるピアサポートの実態とニーズを把握するために、社会的養護経験者である大学生を対象に質問紙調査を実施した。164名を対象に調査票を郵送し、46名から回答を得た。ピアサポートに関連する活動への参加経験がある学生は52.2%であり、NPO法人、出身施設によるアフターケア、社会福祉法人や任意団体、大学と福祉機関との協働、などの支援者による取り組みがあることがわかった。ピアサポートが「必要である」と回答した学生は65.2%だった。ピア・サポートのねらいとしては「利用者の孤独や孤立感が解消できる場」を重視する割合が最も高く認識された。社会的養護のケアを離れた後、同じ境遇にいる仲間と経験や問題を共有することによって、安心感を獲得し、孤独感を解消できるかもしれないと考える学生がいる一方で、人と関わることが自他に及ぼすマイナス面を危惧する学生もおり、実践においては、その両方を視野に入れた配慮が求められることが示唆された。
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