2022 Fiscal Year Research-status Report
保育環境に関するケースメソッド教材の開発と効果の検証
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21K02336
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Research Institution | Japan Women's College of Physical Education |
Principal Investigator |
倉盛 美穂子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (90435355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 瑠津子 福山市立大学, 教育学部, 准教授 (10804445)
光本 弥生 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80280155)
渡邉 真帆 福山市立大学, 教育学部, 講師 (90966144)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 保育環境 / 学び / 活動理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)保育実践における環境構成に求められる視点 環境の構成に関する先行研究を概観すると,アクションリサー チ等の手法を用いて特定のコーナーの変容を追うような研究が蓄積されてきたものの,保育環境を構成するための理論を導き出す研究は十分とは言えない。そこで,保育実践における環境構成の方法の理論化に向け,国際的な保育環境評価スケールである ECERS-3 を手がかりに,環境構成を行う際に求められる視点を整理した。その結果,組織的視点,数値的視点,ユニバーサル・デザイン視点,発達的視点,状況的視点,保育者行為視点,利用者視点が見出された。 2)環境を通した保育を考える枠組みの提案 環境構成に関する理論を調べると,保育者・教師から子どもへの関わりを主軸としたものが多かった。子どもと保育者と環境とのダイナミクスを網羅できるような枠組みを探した結果,活動理論の第3モデルであれば,教科書のない保育ならではの子どもと保育者と環境とのダイナミクスを網羅できる可能性があると考えた。活動理論の第3モデルとは,複数の人が,活動の対象を部分的に共有しながら影響を与え合っている場であることを明確化したモデルである。本科研では,環境を通した保育を考える枠組みは,①同じ環境にいる保育者と子どもはそれぞれの活動の主体であることと,②保育者や教師は直接子どもと関係するのではなく,活動内容が保育者と子どもの間に介在することが重要であるという判断に至った。 3)保育環境に関する学習方法の提案 保育者養成課程の学生は,「環境を通しての保育」を理解することに難しさを感じている。そこで,保育者志望学生を対象に,環境を通した保育を考える枠組みをもとに作成したケースメソッド教材を用いた授業を行い,学習効果を検討した,現在,学生が書いたワークシートを分析し,授業の効果を検証中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響で保育園での観察が難しくなったため計画を変更し,学会や書籍等で発表済みのエピソードを事例分析した結果から,ケースメソッド教材を作成した。そのため,ICTを活用したケースメソッド教材ではなく,まずは紙媒体のケースメソッド教材を作成し,効果検証を行うことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
ケースメソッド教材を使った演習授業を行ったので,教材の有効性や問題点を検証し,教材の改良を行う予定である。 また,紙媒体のケースメソッド教材を使った授業検証の結果をもとに,子ども-環境-保育者がインタラクティブに提示されるようなICTケースメソッド教材作成を試みる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,保育現場への観察が難しかったため,観察補助のための謝金が発生しなかった。また,研究成果発表を行った学会の開催がオンライン形式となり,科研メンバーでの研究打ち合わせもオンラインで実施することが多かったため,旅費も発生しなかった。以上の理由から,次年度繰越金が発生した。
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