2023 Fiscal Year Research-status Report
新型コロナウイルス感染症の流行がワクチン忌避保護者に与えた影響について
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21K02345
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
横尾 美智代 西九州大学, 健康栄養学部, 教授 (00336158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 由美子 福岡大学, 医学部, 教授 (20353170)
早島 理 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (60108272)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | vaccine hesitancy / 予防接種 / 行動変容 / 感染症 / リスクコミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は新型コロナウイルス感染症の流行以前に、育児方針を理由として我が子へのワクチン投与を行わずに子育てを行っていたVaccine hesitancy(ワクチン忌避)の保護者が、2020年から2022年にかけての新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行と、それに対する政府や自治体、学校現場での数々の感染拡大防止対策や、ワクチン投与を求める世論の高まり等を通して、ワクチンに対する意識、不安感等に変化があったか否かを質的調査法を用いて調査を行うことである。さらに、SNSによるCOVID-19ワクチンに関する情報発信やワクチン利用促進のアナウンス、ワクチン利用慎重論等、非専門家による多くの意見が飛び交う状況が続いたことが、当該保護者の育児方針やワクチンに対する考え方に影響を及ぼしたか否かについても聞き取り調査を行う。聞き取りのポイントは(1)新型コロナウイルス感染症の流行に対して対処療法のみであった時期、(2)2020年以前、海外でのワクチン接種がスタートしたものの日本国内での接種見通しが不明であった時期、(3)ほぼ全ての自治体において6ヶ月以上の乳幼児も含む希望者が無料で接種できる環境が整った時期、(4)2023年5月、感染症法上の分類が新型インフルエンザ等感染症による2類感染症相当の分類から5類感染症へ変更され、不要不急の移動や対面による集会等が緩和された時期の、4つの時期に分けて当時の記録や日記等の参考資料を用いながら、インタビューを実施しているところである。現在は当該保護者への聞き取り調査と平行し、膨大なインタビューデータを新型コロナウイルス感染前後での個人内変化と、対象集団全体の共通項の抽出の2つを軸とした発言分析を鋭意進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定していた対象者に聞き取り調査を敢行しているが、転居等により連絡が取れない保護者も少なくないため、新たに「雪だるま方式」で、インフォーマントを募り、調査を継続しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
緊急事態宣言の発令や新型コロナウイルス感染症の予防接種を求める人々による大混乱が発生していた時期と時を同じくしてワクチン接種に関連した人権問題への配慮も強く求められるようになったこと、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)で『反ワクチン派(アンチワクチン派)』と呼ばれる団体や個人が接種拒否だけでなく、接種後のワクチン被害の積極的な情報発信が見られるようになったこと、あるいは街頭での広報活動やデモ行進等についてどのように考えるか等、当初予定していなかったワクチンを取り巻く今日的問題についても聞き取り調査を行い、当初予定していた「新型コロナウイルス感染症による汎流行前後」での個人内の意識の変化以外に、他者からの影響についても聞き取りを行っている。さらに、予防接種の「責務」と「権利」のジレンマについて、専門職者に協力を依頼し、法的な側面からの検討を行っている。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査が完了しておらず、次年度も引き続き継続実施予定であることから次年度使用額が生じた。次年度は主に、調査旅費、研究打ち合わせのための旅費、学会発表のための旅費、論文掲載料等に使用予定である。
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