2023 Fiscal Year Research-status Report
Evaluate the effects of CARE programme interventions on parents of children with developmental disabilities by using brain function and salivary hormones
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21K02385
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
水島 栄 北里大学, 医療系研究科, 教授 (00790940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福丸 由佳 白梅学園大学, 子ども学部, 教授 (10334567)
作田 亮一 獨協医科大学, 医学部, 特任教授 (40254974)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CAREプログラム / fNIRS / ASD+ADHD / Cortisol |
Outline of Annual Research Achievements |
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)などの神経発達症の特性を有する子どもと、その子どもの特性を十分に理解できず、子育てに苦しむ保護者を対象に、親がこどもとの関わり方を変えることでコミュニケーションを向上させるペアレントトレーニングプログラムを通して経験し、その変化を質問紙やfNIRS(近赤外分光法)による脳機計測、唾液中ホルモン濃度測定などをプログラム前後に実施し、状態観察する研究である。 本研究では主にこどもと保護者の状態を心理質問紙等で調査し、fNIRSによる脳機能測定と唾液中ホルモン濃度など主観的指標と客観的指標を用いて状態の把握を通して保護者へのペアレントトレーニングプログラム介入効果を測定する。更に、通常のCAREプログラムとそれに加えて神経発達症の発達心理教育を盛り込んだプログラムの群間効果測定を行う。 令和5年度は、研究代表者の新たな研究サイトとなる北里大学病院、児童精神科研究チームを立ち上げ、大学病院倫理審査手続き、UMIN登録など環境整備に主な時間を費やした。 また研究で提供するCAREプログラムの質の担保を図るために、CARE-Japan代表の福丸氏(分担研究者)とプログラム内容の確認、研修トレーニングの実施などによるスキル研鑽を積んだ。本年度の当初の予定では、CAREプログラム開発者らとのやり取りを通してプログラムの内容を深めていく計画だったが、研究対象者に対するイメージが十分湧かない状態のため、次年度に実施する予定である。 2023年度の進捗としては、必要な手続きやプロジェクトチーム結成など具体的な実践に向けての基盤作りや準備を行ってきた、当初の予定より遅れてはいるが、今後順調に進む段階にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新たに北里大学内で研究機材調達、チーム立ち上げ、倫理審査手続きなど、研究基盤を一から作り直した。 北里大学病院精神科・児童精神科の医師と心理士らと何度も会議を重ね、具体的な研究実践に向けての調整を行った。その結果、北里大学病院内の精神科3名、心理士1名、そして大学院生によるプロジェクトチームを新たに結成。それに先立ち、北里大学病院精神科医師、公認心理師・臨床心理士、看護師を対象にCAREプログラムワークショップを行い、スタッフの理解を得た。 本研究での効果測定で用いるfNIRSを学内調達することが出来た。先行して機材の情報収集、入手後は起動・解析のための確認作業を行った。NIRSを用いた親子同時計測Hyperscanningに関する研究文献リサーチを行った結果、近年中国でその領域の研究報告が数多く出ていることから、海外の研究者らと積極的な情報交換を行っている。 これまでに行ってきた唾液中ホルモン濃度測定のデータ収集、解析結果を経て、CortisolとOxytocinのデータ収集・解析における難易度の差が明らかとなった。唾液中Cortisol解析は、採取した少量の唾液でELISA解析を経て数値化が可能である一方、Oxytocinに関しては大量の唾液が必要な上に凍結乾燥濃縮してからのELISA解析を必要とする。本年度に行ったOxytocinデータ解析では、解析に必要な量を満たさない検体が多いこと、値が規定線量閾値外になることが多く、費用対効果においてOxytocin解析を断念する結果となった。更に、児童精神科を受診する発達障害児にとって、長時間スポンジを口腔内に留まらせることが難しい可能性が示唆された。そのため本研究では、参加者に負担のない選択を迫られ、少ない唾液量で安定した状態の観察が可能なCortisol値を優先するなど当初の研究計画からの修正変更が求められた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、研究参加者を募り、実際にこどもと保護者を対象に研究を行う予定である。特に長期休みを最大限に生かしながらCAREプログラム介入を行っていく予定である。 本研究は、従来のCAREプログラムと神経発達症に関する心理教育を加えたCAREプログラムを神経発達症のこどもの保護者に行う。既にCAREのプロトコルはマニュアル化されているが、神経発達症に関する心理教育のマニュアルは存在しない。そのため、実践を通して最適な方法を模索するパイロット研究の要素が強い。CAREプログラムを神経発達症の子どもの保護者用にどのように変更を加えるかという部分の方向性を誤らないようにする必要性があり、その部分は開発者らと共同で進めていく必要がある。もともとCAREプログラムは、PCIT(親子交流療法)のセラピストたちによって開発された経緯があるため、日本でPCITを実践する研究者やトレーナーなどの意見も取り入れながら進めていく予定である。 唾液中ホルモン濃度測定に関して、当初専用スポンジを用いてELISA解析を行う予定だったが、専用スポンジの不足やELISA解析キットの価格高騰の影響を受け、より安定して唾液情報を解析可能なものに変更する。 北里大学病院児童精神科内に本研究のプロジェクトチームも結成され、北里大学大学院医療系研究科発達精神医学研究室所属の大学院生など研究メンバーも増えてきている。分担研究者らとのコミュニケーションを積極的に取りながら令和6年度も研究を遂行していく。
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Causes of Carryover |
本研究では介入効果の客観的指標として、唾液中Cortisol値濃度測定を行う。保護者1名に対して一日に3検体(起床時、プログラム介入前後)の唾液採取を行い、一人につき検査2回、介入2回合計4回のデータ収集日を設定しており、それに対して毎回3検体が必要となり1名につき最大12検体の解析を行う。保護者だけで合計480検体分の解析、こどもも合わせると720検体解析のための研究費が必要となる。また、今年度は、海外で行われる学会に参加して研究者らとの情報交換・収集を行う予定である。研究協力者に対する謝金の設定もしており、その費用に研究費を用いる予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Brain structures and functional connectivity in neglected children with no other types of maltreatment2024
Author(s)
Natasha Y S Kawata, Shota Nishitani, Akiko Yao, Shinichiro Takiguchi, Yoshifumi Mizuno, Sakae Mizushima, Kai Makita, Shoko Hamamura, Daisuke N Saito, Hidehiko Okazawa, Takashi X Fujisawa, Akemi Tomoda
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Journal Title
Neuroimage .
Volume: 292
Pages: 1-10
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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