2021 Fiscal Year Research-status Report
SNSに起因する青少年問題対策のためのAI技術を用いたサイバー防犯システムの構築
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21K02411
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
池辺 正典 文教大学, 情報学部, 教授 (10453440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 淳 文教大学, 情報学部, 講師 (70711018)
川合 康央 文教大学, 情報学部, 教授 (80348200)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイバー防犯ボランティア / 違法有害情報 / SNS / テキストマイニング / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,SNS上において「青少年の有害情報の閲覧機会の最小化」を実現するための取り組みとして,各都道府県警察とサイバー防犯ボランティア団体が連携することで問題ツイートへの注意喚起の取り組みを行うことを補助するためのシステムの提供を目的としている. 上記目的を満たすための研究計画として,2021年度は「継続的な情報収集環境の構築と辞書および学習データの蓄積」を目的とした計画を進めた.具体的な内容としては,ツイッターから収集した内容について青少年問題関連のものを抽出し,各都道府県警に情報提供する枠組みを構築するために,「ツイート情報収集機能」,「注意喚起情報提供機能」の実装を行った.そして,機能の運用を通して,翌年度の有害情報や地域性の判定のための学習データの蓄積を行った.「ツイート情報収集機能」では,予め登録したキーワードから一定時間毎にキーワード検索によってツイートを収集することで,問題ツイートと考えられる内容の収集を行った.そして,「注意喚起情報提供機能」では,神奈川県警察と神奈川県内におけるサイバー防犯ボランティア団体との情報共有を行う枠組みを試作していたが,複数の都道府県における利用を想定し,47都道府県の警察に向けた情報提供を個別に行うことを可能とするために,都道府県別の情報共有機能の実装を行った.実装した機能は半年程度の運用を行うことで,問題なく複数の都道府県警察との情報共有が可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた通り,2021年度は「継続的な情報収集環境の構築と辞書および学習データの蓄積」を目的とし,「ツイート情報収集機能」,「注意喚起情報提供機能」の実装と,両機能の運用による有害性判定および地域性判定の学習データの蓄積を行う当初計画となっていた.本年度の研究成果として,問題ツイートの学習データの蓄積として,性被害関連611,354件,口座売買関連43,255件,振り込め詐欺関連725,071件,家出関連118,161件の収集を行い,青少年問題の分析を行うにあたり充分な量のツイートが収集できた.さらに,有害性や地域判定の学習データの蓄積としては,実際に47都道府県警察の担当者が行っている注意喚起の取り組みについてのツイートを105,868件を収集した. さらに,「注意喚起情報提供機能」が複数の都道府県における情報共有の枠組みとして運用することが可能であるかを検証するために,神奈川県警察と神奈川県内のサイバー防犯ボランティア団体の情報共有として利用していた当該機能を2021年8月からは広島県警察に利用を拡大した.約8ヶ月の期間,複数の都道府県警察における本システムの運用を行うことを確認できたため,複数の都道府県警察においての利用についても問題なく運用可能であると判断する.そして,さらなる利用拡大が可能であるかを検証するために,2022年2月より全国の都道府県で活動を行っている全国少年警察ボランティア協会でのシステムの試用も実施した. 以上の点から当初計画の通りに問題ツイートを継続的に収集するための枠組みの構築が完了し,翌年度に利用するために充分な量の学習データが蓄積された.さらに,情報共有機能としても複数の都道府県における利用が可能であることを確認した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,前述の通り2021年度の研究の実績としては当初計画通りに実施することができた.このため,2022年度の研究計画についても当初計画通りに進める方針である.2022年度の計画としては,2021年度に開発したツイート収集機能を運用することで蓄積した学習データを活用する.そして,「注意喚起追跡機能」,「ノイズ除去機能」,「地域判定機能」,「有害判定機能」の実装を目指す.「注意喚起追跡機能」は実際に注意喚起が行われたツイートを追跡することで,削除までに要する時間等の情報を収集し,注意喚起対象のさらなる分析のための情報収集を目指す.また,「ノイズ除去機能」では青少年問題関連のツイートに関連性の低いリツイートやアプリケーション等のダウンロードや有料サイトへの誘引目的の広告ツイートが含まれることがあるために,これらをノイズとして除去することを目指す.さらに,「地域判定機能」では地域判定のための単語辞書の利用に加え各都道府県警察の注意喚起の取り組みの傾向の違いから地域の判定が可能であるかを確認する.さらに,「有害判定機能」では実際の注意喚起が行われたツイートの傾向から注意喚起対象の自動判定についてどの程度の精度において判定が可能であるかを検証する. また,各種の学習データが不足することで判定機能における精度が低いというリスクに対応するために,2021年度に構築した問題ツイートや注意喚起情報の継続的な情報収集環境を2022年度も継続的に運用することで,追加の学習データについても継続収集することとする.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により研究補助として雇用する人材確保に支障があったために,利用する端末の確保を含めて2022年度に見送ることとした.2022年度以降に当初予定通りに進める予定である.
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Research Products
(2 results)