2022 Fiscal Year Research-status Report
総合的な学習(探究)の時間における非認知的な能力の育成に関する開発的研究
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21K02503
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Research Institution | Aichi Shukutoku University |
Principal Investigator |
加藤 智 愛知淑徳大学, 文学部, 准教授 (00619306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 真志 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90314062)
西野 雄一郎 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (00850398)
中村 仁志 岡崎女子大学, 子ども教育学部, 助教 (30881560)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 総合的な学習の時間 / 総合的な探究の時間 / 非認知的能力 / 社会情動的スキル / 認知的能力 / 知性 / 情動 / 社会性 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの代表者らの研究によって、総合的な学習(探究)の時間が育成する非認知的な能力については明らかになっていたものの、総合的な学習(探究)の時間が、あらゆる学力階層の児童生徒に対して効果があるのかについては明らかとなっていなかった。そこで、総合的な学習(探究)の時間が育成する非認知的な能力と学力階層との関係性について分析・考察した。その結果、主観的学力評価において、学校の学習に対する自信が低い「学力低群」に分類される児童生徒においても、総合的な学習(探究)の時間が非認知的な能力の育成に効果的であること、そして、学力低群の児童生徒の方が、主観的学力評価において学校の学習に対する自信が高い「学力高群」に分類される児童生徒よりも、総合的な学習の時間による非認知的な能力の育成への影響が大きいことが分かった。このことから、学校の学習に対する自信が低い児童生徒ほど、総合的な学習(探究)の時間が非認知的な能力を育成する貴重な機会となっていることが明らかとなった。 また、非認知的な能力と認知的な能力の関係性を明らかにするために、「情動」「社会性」「知性」から理論的な分析・考察を行った。この研究において、非認知的な能力と深い関わりのある情動や社会性は、認知的な能力と深い関わりのある知性を含んでいることが明らかとなった。この知見から、今後の研究の課題として、総合的な学習(探究)の時間が育成する非認知的な能力が、認知的な能力や知性にどのような影響を及ぼすのかを具体的に明らかにすること、そして、非認知的な能力と認知的な能力を一体的に育成するための授業原理やカリキュラム開発の原理を明らかにすることが見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は新型コロナウィルス感染症の拡大の影響を受け、出張等に支障があったが、その影響も少なくなり、研究会や学会発表、文献収集が実施できるようになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究が主に小学校児童を対象にするものであったことから、今後は中学校及び高等学校における非認知的能力に関する心理学的・教育学的文献の収集と分析・考察に注力するとともに、海外の非認知的能力に関する心理学的・教育学的文献の収集も積極的に行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由と使用計画については、以下の通りである。 ・昨年度までの新型コロナウィルス感染症拡大の状況に伴い、学会の全国大会や研究会が中止となり、旅費の執行額が大幅に減少し、未使用額が生じていた。今年度は旅費の執行額が増えたものの、昨年度分の未使用額をすべて執行するには至らなかった。 ・次年度以降では、今年度同様に学会の全国大会での発表を積極的に行うとともに、研究会の開催を検討する。また、必要な資料の収集を積極的に行う。
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