2023 Fiscal Year Annual Research Report
メタ認知的方略を組込んだ表現活動における資質・能力の形成分析と学習モデルの開発
Project/Area Number |
21K02515
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
柳沼 宏寿 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (00377178)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタ認知的方略 / 生命論 / レジリエンス / PTSD / PTG |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「メタ認知的方略」を美術教育の教授システムに組み込んだ学習モデルの開発と汎用化を目指すものである。「メタ認知的方略」とは,自分の「認知的方略」を客観視すること、つまり、「自分の感じ方・捉え方」の傾向や特色を自覚(メタ認知)することを意味する。そのことにより、表現活動に関わ子どもが新たな自分を創造的に形成していくようになることを仮説に据え、その原理を構造化した授業モデルを構想・実践することを目指している。3年間の研究において、第1年次に概念の基本原理を構造化・図式化し,第2年次ではその原理を生かした題材開発と授業実践に取り組んできた。第3年次(最終年度)となる今年度は、メタ認知的方略の原理を主体と環境の相関関係から図式化し教授システムの学習モデルとして提示し、国際学会での発表や著作物による発信を目指してきた。題材開発については認知活動の時系列における刺激と行為の循環を微視的・巨視的双方の視点から捉えながら推進した。微視的には,PTSDからレジリエンスさらにはPTGへと導く認知構造を図式化し、ギリシャで開催された国際シンポジウム「デジタルストーリーテリング・ハブ」での招待発表を行った。巨視的には歴史的認識にまで拡張し、同時代の二国の子どもの表現を比較することによって新たな視点を獲得する鑑賞方法を考案しInSEA(美術教育世界大会)トルコ大会にて発表した。また、映像メディア表現を通した実践・研究を「感性」という視点から募り、国内外から23編の論考を集め編著者として著書を出版した。以上の活動を通して「メタ認知的方略」と言う概念が、多様化が進グローバルな社会、及び、震災や戦争によって傷ついた生態系・人間の精神に対して、表現活動を通してレジリエンスをもたらし、さらにPTGへの契機となることを明らかにするとともに美術教育の教授システムとしての意義と可能性を発信した。
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