2022 Fiscal Year Research-status Report
虚構世界との往還から自立と共生を目指す校種横断型教育プログラムの策定
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21K02530
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Research Institution | Fukuyama City University |
Principal Investigator |
森 美智代 福山市立大学, 教育学部, 教授 (00369779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
光本 弥生 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80280155)
倉盛 美穂子 日本女子体育大学, 体育学部, 教授 (90435355)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 虚構体験(文学体験) / 保幼小接続 / 自立と共生 / 子ども理解 / 集団づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「虚構世界との往還から自立と共生を目指す校種横断型の保育・教育プログラムの策定」を目的としている。そのために、本研究では、多様な価値観が併存する社会を生きる子どもたちが自立・共生していくための保育・教育プログラムを構想し、保幼小中それぞれの学校種において実践的に検証するものである。 研究2年目である本年度は昨年度に引き続き、(1)子どもの発達と虚構性(文学性)との関連に関する解明と、(2)自立と共生に関する集団・教室づくりの解明に向けた基礎作業を 行なってきた。 (1)については、心理学・哲学・文学理論の領域を中心に、関連する文献を収集し、理論的な考察を進めてきた。特に調査のための物語教材の選定に関わって、教材研究を進めているところである。 (2)については、どのような虚構体験が、自他尊重の意識の向上や協同的探究の実現・子ども間の共存感覚(co-presence)の構築に有効であるかを考察するための調査に向けて準備を進めている。 特に(2)については、COVID19の影響が予想以上に教育現場での調査を困難にしている状況に鑑み、長期的なフィールド調査の予定を変更し、質問紙や聞き取り調査を視野に、コロナ禍においても実現可能な調査方法の模索に向けた議論を進めてきた。現在は、フィールド調査を中心に、共通の物語教材を対象として、就学前と就学後とで虚構世界への没入度(参加・同化体験の質)の差がどのように異なるのかを調査するための準備を進めている。ただし、物語教材の扱い方(指導のあり方)が保幼と小とで異なることが想定されるため、その違いについても考慮に入れながら、まずは教室の実態を描き出すことから進めていく予定である。 それらの結果をもとに、そうした虚構体験が、自他尊重の意識の向上や協同的探究の実現等々にどのように関連しているのかを、今後考察していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19の影響により、1年目に予定していた教育現場でのフィールド調査の目処が立たなかった。そのために1年目は、当初の予定を変更し、質問紙や聞き取り調査を視野に、コロナ禍においても実現可能な調査方法の模索に向けた議論を進めた。2年目に入り、制限はあるものの、フィールド調査の見通しが可能となったことから、現在は、再度、フィールド調査を中心としたデータ収集の準備が進んでいる。 研究1年目は先行研究の収集と検討に時間を費やし、フィールド調査についての詳細な実施計画を立てることができなかった。2年目に入り、研究計画の再編成は整備されつつある状況にある。したがって、おおむね順調に進展していると判断してよいものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定を変更したため、研究計画の再編成に向け、2年目はフィールド調査の実現に向けた準備を進めてきた。研究計画はおおむね目処が立ったものの、調査の実施までには、調査目的の明確化、調査対象の決定、調査方法の共有、調査体制の整備が必要となる。まずは小学校低学年を対象とした物語教材の中から調査対象となる授業単元を決定し、観察をフィールド調査を実施する。その結果を見て、就学前の子どもを対象とした保育実践の実施と、フィールド調査の内容を決定していく予定である。 また、上記の調査の結果に基づき、虚構体験の内実を、どのように自他尊重の意識の向上や協同的探究の実現等々に結びつけて研究を進めていけるのか、検討していく必要がある。個々の子どもたちに対する調査結果を、どのように教室集団の実態と結びつけていけるのか、実践開発と調査方法の開発が課題である。
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Causes of Carryover |
COVID19の影響により、集合しての会議の開催や、研究協力校(保育所や小学校等々)での現地調査・打ち合わせ等が実施できなかったため、旅費の支出がほとんどなかった。 会議や打ち合わせ等の実施については、オンラインに代えて実施できているが、研究協力校での現地調査については、状況が回復した折に、先方と調整し、該当年度の分を取り戻すべく実施していく予定である。
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Research Products
(7 results)