2021 Fiscal Year Research-status Report
義務教育期間をつなぐ造形活動メソッドを造形要素の観点から開発する
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21K02555
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
松久 公嗣 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (00380379)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Reggio Emilia / 造形要素 / 表現領域 / 図画工作 / 美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 保幼小の造形活動に共通する造形要素のうち、連携するこども園・保育園での実践を基に、造形要素ならびに造形に関わるキーワードを抽出した。 こども園においては、「レッジョ活動」と題して行う造形活動において、ドキュメンテーションづくりと振り返りミーティングにおける発表内容から、保育者らの共通理解を深める造形要素や造形に係るキーワードを550語程度抽出し分類した。 保育園においては、『レミダ』施設の設置に関わり、Reggio Emilia Approachにおける「アトリエ」と「レミダ」の機能を備えた建屋の完成を目指した。内装を手掛ける前に、職員とその子どもを対象としたワークショップを開催し、建屋の形状に即した内装の在り方を検討する材料とした。「アトリエ」にあたる機能は完成し、ワークショップで使用するなかでより適した内装の改善を繰り返している。「レミダ」にあたる機能は、保育園の近隣にある企業・工場を中心に廃材提供の呼びかけを始めた。 また、保育園の現任教諭を対象とした造形活動に係る実技研修会を担当し、廃材を用いた造形活動例の紹介や、廃材を使った造形活動の指導・助言を行った。この研修会はコロナ対策を兼ねて遠隔で実施した。小学校だけでなく幼児教育においても、Wi-Fi環境が整備され、タブレット端末やスマホを用いた子どもや各家庭との連絡・交流方法が充実する傾向にある。この遠隔研修会の成果を基に、研究室の機器や研修方法を充実させた。これにより、研究の継続性を維持するだけでなく未来の造形教育を想定した試行も開始することができる。 ② 小学校図画工作科における教科書題材を造形要素の観点から分析するとともに、類似するReggio Emilia Approachの実践と比較・分類してまとめなおすために、中止していたイタリアとの交流作品展を2022年5月に開催できるように協議を重ねた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階でコロナ対策を想定していたことから、コロナの状況に即した研究を進めることができている。2021年度は外部からの立ち入りに制限が無かったこども園と保育園での実践を中心に、造形活動の計画・実践・省察・改善を繰り返し、その中で得ることのできた造形要素や造形に係るキーワードの抽出が可能となった。 小学校での実践が進んでいないが、小学校に関する造形要素の抽出は前の研究から継続している部分なので、幼児教育で得た内容と重ねて分析しまとめることで、2022年度の研究計画は修正なしで進めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、Reggio Emiliaとの交流作品展を中心にイタリア側STAFFとの協議を重ね、11月頃に予定する現地調査で得る知見を加えて、日伊に共通する造形要素等の抽出を完成させたのち、ガイドブック作成に向けた基礎資料の作成を行う。 現地調査に関してはコロナの動向に影響されるため、できる限り事前協議と資料の収集を済ませておく。 連携体制にあるこども園と保育園では、造形活動の継続を通して、さらにキーワードなどの抽出を行い、ガイドブックの精度を高めることができるように取捨選択と分類を進める。また、イタリアとの連携やこども園の英語教育等にも関連して、抽出したキーワードや造形要素の英訳を進め、当初計画に新たな課題を設定することで、世界共通で認識できるガイドブックの作成を視野に入れる。 抽出したキーワードやその分類については、連携するこども園や保育園に加え、大学近郊の小学校図工研究部会にも協力を要請して、学校園の現場の教員が理解し共有出来る内容としていく。
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