2021 Fiscal Year Research-status Report
グローバルシティズンシップの観点を主題とする歴史総合・探究科目の教材開発
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21K02561
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
児玉 祥一 同志社大学, 免許資格課程センター, 教授 (40631932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃木 至朗 大阪大学, 文学研究科, 招へい教授 (40182183)
奥野 浩之 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (80552067)
田中 曜次 同志社大学, 免許資格課程センター, 准教授 (90511064)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | グローバル・シティズンシップ / 歴史総合 / 概念用語 / 歴史用語 / 国際バカロレア教育 / 歴史学習教材開発 / 第1次世界大戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は2022年度より始まる新しい学習指導要領地理歴史科の新しい科目『歴史総合』の内容構成・原理に着目し、研究分担者の桃木至朗と研究協力者となっている高大連携歴史教育研究会に所属する高等学校で歴史を担当する神奈川・埼玉・群馬・愛知・滋賀・大阪・京都などの高校教員と国際バカロレア教育の考え方及びグローバルシティズンシップ教育に通じる学習内容・学習方法を確認するとともに、歴史学習における概念理解を図るための歴史用語について調査・研究を進めた。これが、個別学習・集団学習併用型の授業(ブレンディッド・ラーニング)教材となる歴史学習のコンテンツ開発、ICTを活用した授業モデル例の提案、研究協力者となる高等学校教員による授業実践を行うためのベースとなる。 21年度の具体的な活動報告としては、新たに北海道教育大の研究者(赤間幸人)を加え、前述の研究分担者及び研究協力者とで「概念理解を図るための歴史用語について」をテーマに研究会を立ち上げ、毎月1回のペースでzoomによる研究討議を進めている。 成果としては、検定教科書「歴史総合」各社の大単元「大衆化と私たち」の中の「第1次世界大戦」の箇所に絞って、記述されている概念・歴史用語を教科書本文・脚注・資料・図像・地図などすべてから抽出し、この単元での概念理解のために生徒が獲得していくべき歴史用語の精選・教材開発を図り、を22年1月9日・10日の両日には同志社大学において対面での研究会においてその成果が発表された。 なお、22年度末には『歴史総合』において必要とされる概念及び歴史用語のまとめについても発表する予定である。 一方、20年初頭より感染拡大が始まったcovid-19の影響がまだまだ大きく、グローバルシティズンシップ教育に関する調査や学校現場への調査等については、当初の計画通りには進めることができず、また、全体的な計画も遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グローバル・シティズンシップの観点から、高校で学ぶべき(あるいは教員が身につけておくべき)歴史の内容と歴史研究(探究)の方法の検討・モデル化を、歴史学を専攻する研究分担者を中心に進めていくために、グローバル・シティズンシップの観点で組み立てられた歴史教育については、シンガポールや米国カリフォリニア州など推進国の調査研究も行い、日本に生かすすべを考えることをあげていたが、この点についてはコロナの状況が就職しないために出張調査等が行えず、文献による調査に留まっている。この調査研究は、基本的には研究代表者及び分担者がそれぞれ研究を勧めている段階である。 現在の具体的作業としては、海域アジア史やグローバル・ヒストリーなどで検討されてきた成果を踏まえ、『歴史総合』の教科書を基に、日本史と世界史の基準のズレなどにも注意しながら、自国史(日本史)と世界史の統合的教育のあり方を内容面から研究協力者の高等学校の教員とともに検討している。同時に、高校で習得すべき歴史の学び方、教員・生徒の双方に求められる問いの立て方、教員側が用意すべき評価問題などに結びつく歴史の実例を、習得・活用すべき概念に結びつけて検討している。そこでは日本史学習と世界史学習の共通点と差異だけでなく、歴史学習によってもたらされるべき人文学的素養と国際学ないしグローバル・スタディーズに向けた素養の異同の検討も行いたいが、現状はそのベースとなる段階である、検定教科書『歴史総合』に記述されている概念・歴史用語を教科書本文・脚注・資料・図像・地図などすべてから抽出し、この単元での概念理解のために生徒が獲得していくべき歴史用語の精選・教材開発を図ることに研究の中心が置かれている。 アクティブ・ラーニング型の授業をより効果的に行う歴史学習コンテンツの開発、ICT活用授業モデル例を提案することを目指しているが、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
グローバル・シティズンシップの観点から、高校で学ぶべき歴史の内容と歴史研究(探究)の方法の検討・モデル化を、歴史学を専攻する研究分担者を中心に進めていくために、グローバル・シティズンシップの観点で組み立てられた歴史教育については、シンガポールや米国カリフォリニア州など推進国の調査研究も行うことが本研究にとって重要だと考えていたが、このコロナ感染状況を考えると調査研究は文献研究及び国内での国際バカロレア教育推進校への調査研究に変更すべきとも考えている。あるいは研究計画を1年延長する事も視野に入れたい。 本研究での研究テーマの一つである「新しい歴史科目『歴史総合』及び探求科目の授業内容・授業方法について検討に関しては、研究分担者だけでなく多くの研究協力者(高等学校教員)を得ることができたので、教育現場の実態と研究理論の整合性をより高めていくこととしたい。そのために研究会を月1回のペースで開催すること、今後の研究会はコロナの感染状況を考慮した上で、対面での開催を行うこととしたい。そのために対外調査研究として考えていた資金を、研究会開催のための資金として予算の組み替えについて考えている。 また、『歴史総合』において必要とされる概念及び歴史用語のまとめについても「報告書」として冊子として発表するか、あるいはデジタル化して高大歴史養育研究会のHPなどで発表する予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者の未執行。 出張調査の未履行。
出張調査とノートパソコン購入など
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