2023 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害のある児童を含むインクルーシブな小学校国語科授業の教材開発
Project/Area Number |
21K02562
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
原田 大介 関西学院大学, 教育学部, 教授 (20584692)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国語科教育 / インクルーシブ教育 / 教材開発 / 発達障害 / 授業研究 / カリキュラム開発 / 初等教育 / 教科書研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、通常の学級に在籍する発達障害のある児童を含むすべての児童に必要なことばの育ちや学びのあり方を検証し、インクルーシブ教育の実現を見通した国語科教育の理論と実践の構築に向けて、新たな小学校国語科の教材を開発することにある。 最終年度にあたる2023年度では、インクルーシブな国語科教育の教材開発に求められる考え方を、主に「読むこと」に焦点を当てて描き出した。その際、障害学の分野で展開されてきたクリップ・セオリーをめぐる議論を「読むこと」の観点から検討し、そこで得た知見を援用した。 研究の結果、国語科教育に導入することを想定した「クリップな読み」を、次の4点に整理することができた。(1)国語の教科書教材等の表象で不在にされている障害当事者の存在を想像して読むこと。(2)国語の教科書教材等で障害当事者が表象されることで、逆に不在にされている障害当事者の思いや願い、経験を想像して読むこと。(3)国語の教科書教材等で障害当事者が表象されることで不在にされた、他の社会的困難を生きる当事者の存在を想像して読むこと。(4)障害当事者を含む社会的困難を生きる当事者が、健常者等の社会的強者とのあいだにある差別構造や権力関係の変革を想像して読むこと。 国語の教科書や国語の授業でのやりとりといった、「表象で不在にある障害当事者の存在を読む」ための国語科の教材づくりが進められなければならない。「クリップな読み」を学ぶための教材の選出、その教材における学習の手引きの策定、その教材を用いた授業における学習者のことばの学びの検証、といった点が研究課題として残された。
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Research Products
(3 results)