2023 Fiscal Year Annual Research Report
家庭科における小中一貫シティズンシップ教育カリキュラムの開発・実践
Project/Area Number |
21K02592
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
土岐 圭佑 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60759041)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 家庭科教育 / シティズンシップ教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度と同様に,研究実践校での検討を進めるとともに,前年度に行った授業実践を二つの論文としてまとめた。 一つ目は,「家庭科におけるシティズンシップ教育実践を展開する教師の姿勢と役割-小学6年生を対象とした授業実践より-」と題して,北海道教育大学紀要(教育臨床研究編)第74巻第2号で公表された。この研究から,家庭科におけるシティズンシップ教育実践を展開するために,児童の私的で多様な生活経験や生活実感及び既有の知識を尊重し,それらを起点とした対話的な授業展開を重視する教師の姿勢,児童の私的で多様な生活経験や生活実感及び既有の知識に基づく個人の考えとクラス全体,社会的課題,問題の争点とをつなぐ教師の役割が重要だと示唆された。 二つ目は,「家庭科のシティズンシップ教育実践における教師の姿勢や役割と学校の特性との関連」と題して,日本教育大学協会研究年報第42巻で公表された。この研究の対象授業において,教師は,児童一人ひとりの私的で多様な生活経験や生活実感を対話により授業空間へ引き出し,それらを起点とした授業展開を重視する姿勢や,既有の学習経験の想起や他者との学び合いの機会の保障など児童たちの困り感を解消できる方途を示し,一人ひとりの多様な考えを否定せずに尊重する姿勢,児童たちが,学級内に留まらず学校外の人々に問題に対する考えを受け止められ,何らかの影響をもたらすことを実感して問題解決の展望をもてるように,児童たちの考えと学校外を結びつける役割を担い,教室に公共空間を構成できるように努めていた。こうした教師の実践を支える側面として,教師自身の教育観とそれに基づく学級経営の在り方,家庭科教育の特徴・特性に加えて,学校としての特性が挙げられた。 本研究成果をまとめ,研究成果啓発冊子『家庭科のシティズンシップ教育における教師の実践』を作成した。
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