2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K02663
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
渡部 芳栄 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60508076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 哲彦 岩手県立大学, その他部局等, 准教授 (50565124)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 公立大学法人 / 政策評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度に計画していたのは,なぜ各公立大学が「公立大学法人」という設置主体を選択したかの類型化の分析(セオリー評価)を開始することであった。そのために注力したのは,1)地方公共団体議会の会議録や各法人の年史類といった史資料,2)公立大学法人が作成する書類(中期目標・中期計画・年度計画・業務実績報告書・財務諸表)の2つについて,収集・データベース化することである。 1)については,外部委託を活用し地方公共団体議会の会議録の収集をすぐに開始したものの,予算を遥かに超える収集量であったことから,他の研究費も活用しながら収集を継続した。収集したデータの整理にも時間を要したが,3月にようやくデータベース化がほぼ完了した。ただし,地方公共団体議会の会議録の収集のみで想定の予算をオーバーしてしまったことから,年史類についてはほとんど収集できなかった。 2)については,各公立大学法人の中期目標・中期計画・年度計画・業務実績報告書・財務諸表を概ね収集できた。こちらも膨大な量にのぼるため,年度末の段階では完全なデータベース化までは進められていないが,分析に適した形への加工を進めてきた。 また,1)で整備したデータベースを活用して,なぜ各公立大学が「公立大学法人」という設置主体を選択したかの類型化の分析に着手した。まだ研究発表はできていないものの,各法人ごとにテキスト分析を行い,さらにクラスター分析を活用した分類を試みた。未だ確定的な結論には達していないが,お金に関するグループ,事業の効率的な運営に関するグループ,地域貢献に関するグループの3つは最低抽出できそうである。ただし,当然ながらこの3つにすべて集約できるわけではなく,また,すべてが目的のための議論だったとも限らないため(例えば,影響に関して心配する議論だった可能性もある),更にきめ細かな分析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まず,研究代表者自身が精神疾患を患い,医師から業務軽減措置の必要性を指摘されたこともあり,全体的に順調に進んだわけではなかった。その中でも,上記のように外部委託により地方公共団体議会の会議録の収集とデータベース化は完了し,また学生アルバイトを活用して,各法人の中期目標・中期計画・年度計画・業務実績報告書・財務諸表の収集とデータベース化を一定程度すすめることができたので,大きく遅れる事態にはならなかった。ただし,地方公共団体議会の会議録のデータベースを活用したテキスト分析やクラスター分析による類型化はまだ分析途中の段階である上,各法人の記念誌等の収集はほとんどできなかった。加えて,コロナ禍により出張を控える必要があったことから,当初予定していた年史類の収集を含めた出張旅費はまったく使うことはできなかった。結果的に,学会誌・紀要等への投稿や学会大会での口頭発表も行うことができなかった。
以上のことから,やや遅れているという自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降は,各法人の記念誌等の収集を行い,文献調査も進めながら,なぜ各公立大学が「公立大学法人」という設置主体を選択したかの類型化に関する研究結果を出すことが最優先の課題である。それとともに,中期目標・中期計画・年度計画・業務実績報告書・財務諸表のデータベースを完成させ,中期目標・中期計画・年度計画・業務実績報告書の内容を分析することで計画されたサービスが目的・目標通りに提供されているか等の評価(プロセス評価),公立大学法人制度の活用による改善効果・目的や目標の達成状況の評価(インパクト評価)を開始すると同時に,財務諸表の内容を分析することで資源の投入状況と改善状況等の評価(コスト・パフォーマンス評価)にも着手する。いずれもすでに収集し,データベース化を進めてきているデータを活用した質的・量的分析によって研究課題の達成を目指しつつ,可能な限り,それまでの分析結果から類型化・抽出した公立大学法人や設立団体への聞き取り調査も開始することを目指す。ただし,コロナ禍の状況により,聞き取り調査の実施が困難であることも想定されるため,収集史資料・データベースを活用した分析に当面注力する。
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Causes of Carryover |
上述のように,研究代表者の体調不良により,特に1月から3月にかけては研究を思う通りに進めることができなかった。先に述べた2022年度に実施する計画としているプロセス評価,インパクト評価,コスト・パフォーマンス評価そのものには経費は必要とせず,残された課題である各法人の記念誌等の収集や中期目標・中期計画・年度計画・業務実績報告書・財務諸表のデータベース化などについて改めて2022年度になってからまとめて実施することとし,少額(12,073円)ではあるが資料収集やデータベース化の経費に当てる予定である。
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