2023 Fiscal Year Annual Research Report
在日中国人を対象としたペアレント・トレーニングプログラム開発のための実証的研究
Project/Area Number |
21K02686
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
井上 菜穂 鳥取大学, 教育支援・国際交流推進機構, 准教授 (50748845)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 雅彦 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20252819)
中村 裕子 鳥取大学, 医学部, 助教 (60868496)
裴 虹 筑波大学, 人間系, 研究員 (70633915) [Withdrawn]
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 発達障害 / ペアレント・トレーニング / 家族支援 / 在留中国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では1990年代以降、中長期にわたって日本に暮らす外国人(在留外国人)の人口が増え続けているが、特に障害のある児を持つ家族への支援は遅れており、その中には発達の遅れがある児が多く含まれていると考えられる。子どもたちは親の言葉の問題によって医療機関や支援施設へとつながらず、発達の遅れに対して何のサポートも受けることができていない現状がある。 ペアレント・トレーニング(以下、PT)は発達障害の家族支援としての有効性が認められた方法であり、WHOや厚労省も推奨している。しかし我が国において、在留外国人家族へのPTは言語だけでなく文化的適合性の要因から著しく遅れており、ほとんど実施されていない。本研究では初年度に言語だけでなく、中国文化を考慮した在留中国人のためのPTを開発した。そして2年目と3年目(今年度)に発達の気になる子をもつ中国人家族へPTを実施した。プログラムは全8回、オンラインの回と対面実施の回から構成された。隔週で実施し、プログラム修了後にフォローアップを2回おこなった。今年度は就学後の子をもつ親を中心にプログラムをおこなった。その結果、親の精神健康度の改善や子どものスキル向上など、本プログラムに一定の効果があることを確認した。しかし昨年度と今年度を比較すると、幼少期の早い時期にPTを実施するほうがより高い効果を得ると推測できることから、日本人の子どもと同様に早期のPT導入が求められる。またプログラム前後に反構造化面接を実施した結果、親の満足度は高く、PT後に参加者を中心とした中国人の親のコミュニティーが形成されたことも明らかになった。また本プログラムの参加を通して中国人スタッフのスキルの向上がみらるなどの副次的な効果も確認できたことからも、本研究は異国文化での子育て支援研究としての独創性だけでなく社会的意義も大きいと考えられる。
|