2022 Fiscal Year Research-status Report
MR仮想空間とロボットアバタを媒体とした遠隔リエゾン学習システムの構築
Project/Area Number |
21K02788
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Research Institution | Shigakkan University |
Principal Investigator |
前野 博 至学館大学, 健康科学部, 教授 (00369597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺間 正通 東洋大学, 人間科学総合研究所, 客員研究員 (60262797)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遠隔教育 / VR / プロジェクトマッピング / 病児保育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は移動や調査受け入れ制限のために実施できなかった必須の課題の一つであるリアルタイム全天球映像プロジェクトマッピング投影システムの検討および構築を今年度試みた。 まず、文献研究においてリアルタイム遠隔授業の展開におけるVR利用の有用性が明らかにされる(檜垣、2021)など、リアルタイムVRによる学習環境活用についての知見が散見されるようになってきた。しかし、いずれもVRゴーグルやコンピュータ・ディスプレイ内でのメタバース等擬似的学習空間を介したものであり、本研究への直接的な関連性を有した先行研究は未だ見いだせていない。その一方で、寺本ら(2012)が既にVR環境を介した聴覚による社会的サイモン効果の創出の可能性について言及していることから、それが視覚を通した学習者どうしのリエゾン効果へとつなげていけることが期待できた。 それら調査結果に鑑み、全天球映像のプロジェクトマッピング投影システムに利用可能なシステムの調査・検討を移動等の制約が緩和された今年度に広く行なった。VRプロジェクトマッピングに係る企業や展示会などにおける調査・取材を行い、リアルタイムVR映像をプロジェクトマッピングで室内投影を行える製品などを実際にいくつも検分し、費用調査も行った。ただし、利用可能なシステムは複数見いだせたものの、いずれも構築には少なくとも300万から500万円前後を要し、現時点において本科研費予算では届かない。 そこで視点を変え、前方と左右方向3面の映像を室内投影することによる擬似的教室空間の再現でもある程度の没入感を演出できることがわかってきた。以上について明らかになったことについては本研究進捗については大いに有益であった。もっとも、全天球映像を簡便に投影できるシステムは移動や即時の環境設定には有用であるため、当初案のシステムに関しても引き続き調査を行なっていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度の移動制限や学内の出張の自粛要請などによる調査をはじめとした研究進捗の遅れは2022年度にも尾を引くとともに、夏季前後の新型コロナの新たな変異株による再度の警戒感の高まりから、調査には引き続きの制約が伴った。このことから、システム構築にかかる調査等は2022年度も実質的な活動は後半に入ってからとなり、2022年度中に最終的なシステム構成へと帰結できなかったのは重ねて悔いが残る結果となった。 システム構築の技術的な目処は概ねついていたものの、円安の影響や国際情勢等による半導体不足も向かい風となり、費用面ではシステム構築には2021年度時点よりも当初想定を遥かに上回る費用が必要であることが調査の結果、判明した。そのため、より多くの選択肢を模索することとなり、追加の調査を要するとともに、想定外の予備実験などを行うことになったことなどから、結果として進捗は予想以上に時間を要することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度においてはシステム構築のために費用面も含めたさらなる可能性を追求するため、より広範なシステム関連の調査を行う。 また、それと並行して、リアルタイムVRによる双方向授業データ通信についても並行して検証を進めていく。 なお、アバターロボットについては、費用削減のために購入ではなくシステムのレンタルを企図しているため、リアルタイムVR映像の逐次送信とVR映像のプロジェクションマッピングまたはそれに準ずる方式による室内投影を合わせたシステムが構築できた後に、遠隔によるロボットアバターのコントロールシステムを構築し、それらを総合運用したシステムの活用検証を行いたく、それについては次年度へと持ち越すことを検討している。 したがって、映像関連のシステム構築に加えて、今年度はロボットアバターのシステム検討のための調査も重点的に行うこととする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主要な事由は、VRプロジェクションマッピングシステムの構築に関して調査した必要金額と予算計上していた金額の国際情勢等に伴う乖離のため、システム構築を見直す必要が生じ、2022年度に構築が行えなかったことにある。そのため、現在、システムの見直しを行うとともに、さらに調査を継続しているところである。 2023年度は、実際に投影および活用検証ができるシステムの構築を目指し、それと併せて遠隔教室間の授業VR映像の送受信のシステム構築と活用検証を行う予定である。したがって、今年度は9月以降にそれらシステムに係るVRカメラ、遠隔投影用超単焦点プロジェクタ複数台等を購入し、それらを中心としたシステムを構築したい。
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Research Products
(1 results)