2021 Fiscal Year Research-status Report
理論体系を視覚化する電子書籍とLMSを用いた深く学べる物理学習システムの構築
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21K02822
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Research Institution | Hiroshima National College of Maritime Technology |
Principal Investigator |
藤原 滋泰 広島商船高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20390495)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 物理教育 / 電子書籍 / 体系的な理解 / 微分積分と力学 / オンラインテスト / 授業動画 / LMS / Teams |
Outline of Annual Research Achievements |
微分積分を用いた見通しの良い力学の理論体系を学べる電子書籍と授業動画、オンラインテストを連携させて物理教育を実践した。具体的には、以下の3点を軸として、電子書籍による体系的な学習と授業動画による主体的・相互的な学習を組み合わせて、深く学べる物理教育を推進した。 ① 3年生の2クラスの物理の授業にて、本研究の電子書籍「微分積分を用いた力学」のギャラリー機能などを活用し、“物理量を傾きや面積として求める意味”や“各物理量や法則が繋がっている理論体系”について視覚的に分かり易く学習させた。 ② 電子書籍の内容に沿った授業動画を開発し、授業進度に合わせて、Microsoft Teamsでチャット配信を行なった。動画は「各単元の要点の解説」、「問題演習の解答解説」がセットになっている。学生達には、授業の問題演習の時間に解答解説を視聴させて“個別のペースに合わせた主体的な学習”をさせたり、動画の投稿チャットに理解できたことや気が付いたことなどをコメントで返信させると共に、互いのコメントに「いいね」等のリアクションを付け合うことで“相互的な学び”が深まるように指導した。 ③ 電子書籍でのギャラリー機能の図解や問題演習に連動して、LMS(Blackboard)上にオンラインテストを用意した。オンラインテストは、「一問一答編:計13問」と「理論体系編:計11問」、「計算問題編:計12問」の3段階で構成した。 アンケート結果より、電子書籍やTeams配信の授業動画とコメント等が理解に役立ったことが確認できた。3段階のオンラインテストを全て実施できたクラスBでは、平均正答率が全段階で8割以上の良好な成績となった。加えて、令和3年度の全国高専CBTの「物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる」という問題の正答率は、2つのクラスで約85%と約90.2%という好結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に開発した電子書籍「微分積分を用いた力学」とオンラインテスト、Teams配信の授業動画を組み合わせて、体系的に物理の法則を深く理解させる為の教育を実践した。LMS上のオンラインテストや全国高専CBT、アンケートの結果から、良好な教育効果を確認できた。 授業動画の開発とTeamsでの配信も順調に進んだ。授業動画はTeamsを用いて、授業進度に合わせながら、クラス毎のグループチャットで配信した。授業動画は、Keynoteのスライドに音声を吹き込んだものを動画(mp4)として書き出して生成した。動画は2部構成であり、①各単元の要点の解説、②問題演習の解答解説がセットになっている。 微分積分と力学についての計4本の授業動画のみならず、1・2年生用として、有効数字、落下運動、力とその性質、運動方程式、浮力・圧力、仕事、熱などについて、計23本の授業動画を制作した。3年生用の動画としては、運動量と力積、波とエネルギー、ドップラー効果などについて、計15本の授業動画を制作した。これらの動画もTeamsにて配信した。 オンラインテストについては、本研究の独自の特徴である、理論体系の図解問題によって学習内容を体系的に確認・整理させたり、併用問題によって複数の解法で観点を広めさせたりすることが、理解の深まりに効果を発揮していたことが分かった。 オンラインテストの誤答分析については、①速度・加速度・変位の問題にて、学生達の理解度を落とす原因として不定積分の計算が影響していること、②運動方程式を起点とした,仕事や力積への積分体系について、“距離積分と仕事”や“時間積分と力積”が結び付いている所までは掴めていても、更にその先の積分の計算を適用し切れなかった学生がいたことなどを明らかにした。 以上の様に、電子書籍やオンラインテストの教育実践、授業動画の開発と配信など、全て概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
体系的に深く学べる物理教育のシステム構築と実践的な検証を行う為に、今後は以下の3つの研究方策を推進する。 ① 電子書籍のメディア ウィジェットに授業動画を実装する。授業動画は、アンケートやオンラインテスト等の分析結果に基づき,前年度に制作したものに改善を施す。Teamsによる授業動画のチャット配信も継続し,動画の視聴による個別のペースに合わせた主体的な学習や動画の配信チャットへのコメント・リアクションによる相互的な学習の機会を増やす。 ② 誤答原因や解法の糸口への誘導を行えるように、電子書籍の中で、物理量や法則間を結び付けている微分や積分に対して、体系番号を割り振る。問題演習やオンラインテストの解答解説、授業動画にも体系番号の表示を導入し、微分積分による体系的な深い理解の習得を強化する。 ③ 誤答分析に基づき、体系番号を用いた誤答原因への学習(復習)の誘導と克服を行い、体系的な深い理解の習得に対して、どの様な効果があったのかを明らかにする。また、定期試験や高専機構のCBTの結果、アンケート結果に対する評価・解析も行う。
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Causes of Carryover |
(理由) タブレット端末(iPad)やパソコンの購入に際して、年度毎の低価格化と高性能化、新製品の発売等を見込んで、初年度での全台数の一括購入から、年度毎の購入に計画を変更したため。また、旅費については、学会がオンライン開催となった為に支出しなかった。 (使用計画) タブレット端末や電子書籍(iBooks)・動画を開発するための物品の購入等に使用する。学会発表についても、令和4年度は現地での講演発表を予定しており、旅費を支出する見込みである。
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Research Products
(3 results)