2022 Fiscal Year Research-status Report
教育実習の配属条件の違いによる授業実践力への影響に関する比較研究
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21K02850
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
内山 隆 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (40389648)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 教育実習 / 授業実践力 / 配属条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度に小学校で5週間の教育実習Ⅰ(主免実習)を行った3年次の学生で、1学級に1人の教育実習生が配属された者(以下「1人配属」と表記)と1学級に複数の教育実習生が配属された者(以下「複数配属」と表記)、それぞれ26名ずつの教育実習記録「教育実習のまとめ・考察」の文章を分析対象とした。 「1人配属」と「複数配属」の文章記述において、使われる単語の出現頻度について比較したところ、名詞、動詞、形容詞ともに出現頻度の高いものは同様の傾向を示した。だが、出現回数は「複数配属」の方が圧倒的に多く、「複数配属」は授業実践に関わる名詞の多様性から振り返りの視点が多様であることが明らかになった。 単語同士の共起については、「1人配属」では「できる」を中心に「授業」「子供」「教師」が多く、「複数配属」では「子供」を中心に「授業」「できる」「子供」「教師」「考える」が多いのが特徴的である。 授業実践力に関わって、「複数配属」の振り返りの視点の多様さの要因を捉えるために、記録の文章に「複数配属」について触れていた7名の記録の文章を分析した。そこから、指導教員や他の実習生と授業前の指導案作成・検討・修正や授業後の成果と課題の検討・改善、視点をもった授業観察、授業者への聞き取り等を繰り返すことで、自分一人では気付けないことに気付くことができたというメタ認知ができるようになっていることが明らかになった。このことが、授業実践に関わる振り返りの視点の多様さにつながっていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、予備調査的に「1人配属」10名分と「複数配属」10名分の教育実習記録の文章を分析した。単語の出現頻度や共起について比較し、この分析方法では配属条件による違いについては十分に明らかにできないことが分かった。 令和4年度は、大学の教務委員会・教育実習部会や附属学校と連携して組織的に取り組み、学生から研究協力の承諾を依頼し、附属学校で承諾を得た26名(複数配属)と同数の公立学校で承諾を得た26名(1人配属)の教育実習記録を分析することができた。 単語の出現頻度の比較から見えた「複数配属」の授業実践力に関わる振り返りの視点の多様さの要因について、文章記述の文脈に即して分析し、「複数配属」による教育実習で学生がどのような経験を積み重ねて振り返りの視点を獲得し、メタ認知しているかを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、前年度に明らかになった授業の振り返りの視点と教育実習の配属条件の関連について、令和3年度の記録についても分析し要因を明らかにする。 また、授業実践力について単語分析を手掛かりに実習生が何を経験し、学んでいるか抽出し、「1人配属」「複数配属」それぞれについて文章の記述を比較・分析し明らかにする。 以上から教育実習の配属条件の違いによる授業実践力への影響について捉え、その成果を教育実習プログラム及び教員養成カリキュラムの評価・改善に生かせるように具体的なプログラムとして提案する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により学会への出張がなくなった。当該年度の旅費については、使用計画通り教員養成大学並びに附属学校への聞き取り調査を実施することで有効活用できた。実習記録のデータ処理に係る人件費・謝金については、効率的な方法により節約ができた。 初年次の出張旅費及び人件費・謝金の残額については、調査地での教育実習の観察や聞き取り調査に活用したい。
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