2022 Fiscal Year Research-status Report
幼児教育における自然体験型プロジェクト活動の指導法の開発
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21K02878
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
後藤 みな 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (10817711)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | プロジェクト活動 / プロジェクトアプローチ / 自然体験 / 幼児教育 / ドイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨今、科学教育の基盤ともなる自然体験の不足が懸念されている。幼児期の自然体験活動については、幼児教育施設において、限られた時間・資源のなかで実施されているものの、いかなる自然体験が科学教育の基盤とり得るのか、その検討は十分になされていない状況にある。 そこで本研究では、ドイツにおいて幼児期にふさわしい教育方法として注目されるプロジェクト活動(Projektarbeit)を手がかりにし、なかでも、自然体験に特化した自然体験型プロジェクト活動の分析を行い、日本の幼児教育に適した自然体験の指導法を開発することを目的としている。 以上の目的の達成に向け、次の通り下位目的を設定し、調査を進めることとする。第一に、自然体験型プロジェクト活動における環境構成の視点を解明することである。第二に、自然体験型プロジェクト活動における教材や教具の特徴を解明することである。第三に、自然体験型プロジェクト活動における保育者の指導の特徴を解明することである。 以上の目的のもと研究を実施しているが、2022年度は、主に第一、及び第二の下位目的に取り組んだ。具体的には、まず、ドイツの幼児教育雑誌に掲載されている自然体験型プロジェクト活動の事例を収集・分析し、テーマや活動内容、活動の中で用いる事物・事象等を調査した。本調査を通して、自然体験型プロジェクト活動のテーマや活動等の多様性を捉えるとともに、そこでの子どもの学びのあり方を検討した。次に、ドイツのハンブルク州及びベルリン州における幼児教育施設を訪問し、保育者に対してインタビュー調査を実施した。本調査を通して、自然体験型プロジェクト活動において、保育者、保護者、地域住民、専門家等の大人がいかに関わり、園舎、周辺の地域、家庭等の場所をどのように活用するのか等の環境構成のあり方を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は、第一に、自然体験型プロジェクト活動のテーマやその活動内容、活動の中で用いる事物・事象等を探るために諸文献から検討し、第二に、環境構成のあり方を探るために、ドイツにおいて保育者に対してインタビュー調査を実施した。以上の調査を進める中で、自然体験型プロジェクト活動は、子どもの生活に基づいた疑問を中心にして、それを子どもと保育者が共に考え、行動していくような探究的な活動が重視されていることが確認された。さらに、保育者のみならず、保護者、地域住民、専門家等がプロジェクトに関わることも明らかとなった。本研究は、先に述べた通り、保育者の視点からプロジェクト活動の展開方法を探るものではあるものの、プロジェクトには多様な大人の関わりがあることを踏まえると、保育者以外の大人の視点をも考慮して一つひとつの事例を分析・考察することが必要となった。その作業に時間を要したため、進捗状況としては「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、今年度に引き続き自然体験型プロジェクト活動の事例を収集し、先に挙げた視点から分析と考察を加えることが課題である。また、ドイツでの調査が可能となれば、保育者へのインタビューを実施するとともに、プロジェクト活動の様子を視察する予定である。研究成果をまとめ次第、学会発表や論文投稿を行うこととしたい。
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