2021 Fiscal Year Research-status Report
理系研究者を目指して:研究者アイデンティティ形成プロセスの質的解析
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21K02901
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 紗知 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (70769067)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 研究者アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大学の理系の研究室での経験が、いかに研究者アイデンティティ形成につながるかを明らかにすることである。筆者が先に実施した研究により、理系研究者を目指して大学に進学したものの、 研究室での研究活動を経て、研究職を断念する学生も少なからず存在することが示唆された。これまで科学教育の分野では、主に海外の研究により「理数科目コンピテンシー」や「他者による承認」 が生徒の科学アイデンティティを予測しうることが明らかとなっている。しかし、そのほぼすべての研究が、中等教育あるいは大学の学生実験を対象としてきた。そのため、大学の理系研究室での経験が、いかに研究者アイデンティティ形成につながるかは明らかでない。そこで本研究では、研究室における研究活動の中で、研究者アイデンティティがいかに確立されるのか、その形成プロセスを明らかにする。 具体的には、理系研究室に所属する学生を対象とし、研究職を目指す学生と断念した学生双方に半構造化インタビューを行う。質的データ解析では、①研究を遂行する能力への信念と②実践的コミュニティ概念に基づく正統的周辺参加を解析の 視点として用いることで、研究者アイデンティティ確立に結びつく要因を多角的に解析する。最終的には中等教育の理科教育やキャリア支援に導入すべき有用な知見を得ることを目指す。以上を目的とし、理系学部に所属する大学生に半構造化インタビューを実施し、その記録を質的手法により解析している。研究1年目の2021年はパイロットスタディとして10名の学生へのインタビューを予定していたが、当初の計画より順調に進んでいたことから、2022年3月時点で、合計18名の学生への半構造化インタビューが完了した。またその内訳は、①大学入学時に研究者を目指していたが、現時点では研究者を諦めた学生(8名)、②現在、研究者になることを目指している学生(10名)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究1年目の2021年はパイロットスタディとして10名の学生へのインタビューを予定していたが、当初の計画より順調に進んでいたことから、2022年3月時点で、合計18名の学生への半構造化インタビューが完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、本調査として全てのインタビュー、すなわち32名へのインタビューを予定している。またインタビューデータは、修正版グラウンデッドセオリーアプローチにより概念を抽出し、その概念間にある関係に注目することで、「研究者を目指す学生」と「研究者になることを断念した学生」の経験の間に、どのような体系的な違いがあるかを明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
学会がオンライン開催になったため、旅費分が余剰として残った。今年度の学会参加費として使用を予定している。
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