2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of meta-representation
Project/Area Number |
21K02977
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
内藤 美加 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (00212077)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メタ表象 / 言語的表象 / 幼児期 / 心的表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
21年度は実験実施には至らなかったが,今年度と来年度に向けメタ表象理解を測る言語課題材料の準備を進めた。言語課題は (a)代案命名,(b)文脈手がかり,および (c)二重命名の3種類である。 まず代案命名課題は,1つの対象物に対して1つの名前(例えば “ワンワン”)を提示し,もう1つの代案語(“イヌ”)の産出を求める。材料の名詞は最年少(3歳)児でも理解や産出できかつ直感的に想起できる必要があり,当初は同義語を使うことを考えたが,3歳児の日常語彙にあり簡単に想起できる同義語が少なく選出が難しかった。そこでカテゴリ名(例えば,“動物”)とその事例(例えば “イヌ”)を使うこととし,練習項目として2対(“くだもの”と“リンゴ”, “チョコレート” と“お菓子”)および実験項目として4対(他に,“イヌ“と“動物”, “野菜”と“にんじん”,“チューリップ”と“花”,“虫”と“クモ”,)を選出した。 文脈手がかり課題は,既知物(枕)と未知物(リップ立て)を提示し,文脈手がかりを与えて(例えば,“太郎は眠い”),無意味語(例えば“ヘク”)が指す方をこれら2つから選択させる(“眠いからヘクを渡してあげて”)。先行研究を参考に,幼児にも理解可能な既知物と文脈手がかりの5対を2セット([りんご/お腹がすいた,石鹸/泥んこになった,クレヨン/お絵かきする,歯ブラシ/歯磨きする,靴/お外に行く]および[バーガー/お腹がすいた 枕/眠い コート/寒い ジュース/喉が渇いた 絆創膏/転んで痛い])を選出した。未知物は調理用具,工具,化粧道具など10種類の写真を用意した。さらに2文字の無意味語を10個(他に,リニ,ヌユ など)選出した。 二重課題は,1つの未知物に対して2つの異なる名前(無意味語)を割り当てることができるか否かを調べる課題であり,これまでに用意した未知物と無意味語を用いる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
21年度は,新型コロナウイルス感染症の影響で幼児を対象とした実験の実施が困難であり,実験の実施には至らなかった。また21年度から22年度にかけて公務(附属幼稚園長職)に就いており,それにかかわる業務が多く本研究課題に十分な時間を割くことが難しかった。 さらに実験が実施できていないだけでなく,材料の準備も完全に終了できているわけではなく,予備実験や今後の見直しが必要である。特に代案命名課題として当初考えていた同義語は,いくつか考えていく中で,3歳児の日常語彙にあって最年少児でも簡単に理解や産出,想起できそうな同義語が少なく,幼児の語彙から選出することが難しいことも分かった。このため,同義語ではないものの,1つの物が2つの名前を持ちうる言語材料として,具体的な対象物自体の名前とそれが属するカテゴリ名とを用いることとした。これにより,例えば「リンゴ」は「果物」でもあること,つまり1つの赤い果実が同時に「果物」でも「リンゴ」でもあり得ることを理解できるか否かを測定することが可能となると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も引き続き新型コロナウイルス(COVID-19)の感染状況が予測できず,また公務にとられる時間も昨年度と同様であるため,本実験実施には至らない可能性がある。しかし感染状況を見ながら,少なくとも本年度選出した言語材料が幼児に理解可能であるかを予備実験で確認,検討する予定である。予備実験の実施は関係している附属幼稚園に協力を求める。
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Causes of Carryover |
21年度は新型コロナウイルス感染症のため学会はすべてオンライン開催となり,所属からの出張も不急の場合には控えることが推奨された。この状況に加えて公務にかかる業務遂行のため,当初予定していた学会参加や他大学研究者との研究交流のための出張ができず旅費は未消化となった。同じく感染症と業務時間の制約のため,実験実施やデータ分析に必要な諸経費も消化できないままとなった。次年度には実験とデータ分析に必要な消耗品や物品等の諸経費とともに,本研究課題に関する知識供与を受けるための研究交流,学会発表などに使用する計画である。
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Research Products
(1 results)