2023 Fiscal Year Annual Research Report
場の量子論と三次元トポロジーの相互作用から導出される不変量の恒等式の理解
Project/Area Number |
21K03242
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山口 祥司 早稲田大学, 商学学術院, 准教授 (30534044)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ライデマイスタートーション / 穴あきトーラス束 / 三次元双曲多様体 / 消滅恒等式 / 特殊線形群 / 基本群の表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度までに得られたライデマイスタートーションの消滅恒等式の成立する範囲を円周上の穴あきトーラス束とみなせる三次元双曲多様体において拡張することに取り組んだ。ライデマイスタートーションの消滅恒等式は指標代数多様体上の点集合に対応するライデマイスタートーションの値の逆数和が0になるという内容の公式である。ライデマイスタートーションの消滅恒等式の成立例においてはライデマイスタートーションを双曲構造のパラメータ集合とみなせる指標代数多様体上の関数の値として表示し、代数幾何学の定理を応用することで逆数和が0になることを示している。本研究でも2022年度までの成果として、トンネル数が1という条件を満たし円周上の穴あきトーラス束とみなせる三次元双曲多様体においてはライデマイスタートーションの値を指標代数多様体の定義方程式から定まる関数の値として記述することによって消滅恒等式が成り立つことを証明できていた。 2023年度は円周上の穴あきトーラス束とみなせる双曲三次元多様体において、2022年度までの成果であるライデマイスタートーションを指標代数多様体の定義方程式から定まる関数の値として記述する方法を物理学の場の量子論に現れる物理量「分配関数」のポテンシャル関数を用いて一般化することを考察した。2022年度までの考察は指標代数多様体を定める定義方程式の具体的表示に基づいていた。2022年度までの考察を一般の円周上の穴あきトーラス束に拡張するためには指標代数多様体を定義方程式の具体的表示によらずに統一的に考察する方法が必要となり、場の量子論における分配関数から指標代数多様体を記述する方法によって課題の解決を試みた。しかしながら、特別な円周上の穴あきトーラス束において場の量子論における分配関数から指標代数多様体およびライデマイスタートーションの値が記述できることを確認した段階にとどまった。
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