2021 Fiscal Year Research-status Report
マルコフ拡大を用いた力学系に関する大偏差原理の研究
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21K03321
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山本 謙一郎 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30635181)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大偏差原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の目標は区分単調区間力学系、特に今までに大偏差原理の成立が知られていない一般化β変換などに対して周期点測度の稠密性を示すことで大偏差原理の成立を示し、来年度以降の高次元化のための知見を得ることであった。本年度は、お茶の水女子大学の篠田万穂氏との共同研究において、一般化β変換を含む一般化(α,β)-変換という広いクラスの区分単調区間力学系を導入し、それらに対してマルコフ拡大およびHofbauer氏-Raith氏による区分単調区間力学系に関する周期点測度の稠密性の判定法を用いることにより、周期点測度の稠密性を示した。この応用として昨年度までに得られた鄭容武氏との区分単調区間力学系に関する大偏差原理の判定法を用いることにより、位相推移的な一般化(α,β)-変換について、最大エントロピー測度をリファーレンス測度として大偏差原理が成立することを証明した。得られた結果は論文「Density of periodic measures and large deviation principle for generalized (α,β)-transformations」としてまとめ、現在投稿準備中である。また、本年度投稿した先述の広島大学の鄭容武氏との共著「Large deviation principle for piecewise monotonic maps with density of periodic measures」は国際誌に受理された。これらの結果は、ポルトガルの遠隔セミナー「Zoominar in Dynamical Systems @ Porto」や筑波大学の「数論セミナー」など国内外のセミナーにおいて講演した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一般化β変換について周期点測度の稠密性を示すことが本年度の目標であったが、それよりも広いクラスの区分的拡大区間写像について周期点測度の稠密性を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度はさらに広いクラスの区分的拡大区間写像について周期点測度の稠密性が成立するかどうかを調べる。また、本年度慶應技術大学の高橋博樹氏と共に研究に着手した高次元区分的線形写像についてマルコフ拡大を用いて大偏差原理の成立を示したい。これらの研究を円滑に行うために関連する研究者との研究討論および得られた結果の研究発表を行う。
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Causes of Carryover |
本年度参加予定だった一部の研究集会に参加が出来なかったため。また、前年度に購入した図書が当初の予定よりも少なかったため。次年度の書籍代、旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)