2021 Fiscal Year Research-status Report
強結合超伝導におけるエリアシュベルグ方程式の作用素論的研究
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21K03346
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
渡辺 秀司 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90222405)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 強結合超伝導 / エリアシュベルグ方程式 / 非線形積分方程式 / 解の存在と一意性 / 解の温度についての性質 / 不動点定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
超伝導のBCS理論が適用できない強結合超伝導に唯一適用可能と期待される理論は、エリアシュベルグ理論しかありません。しかし、エリアシュベルグ方程式を解くことは強結合超伝導の理論的研究において極めて強く切望されているにもかかわらず、連立の非線形積分方程式であるため、解析的にほとんど解けていません。このため、強結合超伝導の理論的な研究はあまり進展していません。したがって、エリアシュベルグ方程式の解の存在や一意性、解の温度についての性質を示すことは、強結合超伝導の理論的研究において極めて重要です。 このような、連立の非線形積分方程式であるエリアシュベルグ方程式に不動点定理を応用して、解の存在や一意性、解の温度についての性質を導きますが、その際、解が属するであろうと期待される適切なバナハ空間と、解が温度についてのある種の性質をもつであろうと期待される適切な部分集合を慎重に選ぶ必要があります。 そこで、電子・フォノン間の結合定数が非常に小さくてゼロに近い場合について、令和3年度は調べました。エリアシュベルグ方程式に現れているポテンシャルに対して適切な条件を遂に発見して、この条件の下で、エリアシュベルグ方程式を扱うべきバナハ空間とその部分集合を適切に設定して不動点定理を応用しました。その結果、電子・フォノン間の結合定数が非常に小さい場合におけるエリアシュベルグ方程式の解の存在と一意性を数学作用素論的に示すことができました。さらに、解の温度についての連続性や偏微分可能性、さらには温度についての予想されていなかった性質をも導き出すことができました。この研究成果を研究論文として Nature 誌の姉妹誌で発行したり、また数学会で発表したりしました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子・フォノン間の結合定数が非常に小さくてゼロに近い場合について、令和3年度は調べました。エリアシュベルグ方程式に現れているポテンシャルに対して適切な条件を遂に発見して、この条件の下で、エリアシュベルグ方程式を扱うべきバナハ空間とその部分集合を適切に設定して不動点定理を応用しました。その結果、電子・フォノン間の結合定数が非常に小さい場合におけるエリアシュベルグ方程式の解の存在と一意性を数学作用素論的に示すことができました。さらに、解の温度についての連続性や偏微分可能性、さらには温度についての予想されていなかった性質をも導き出すことができました。この研究成果を研究論文として Nature 誌の姉妹誌で発行したり、また数学会で発表したりしました。また令和4年度に物性物理学の国際会議で、この研究成果についての招待講演を実施することが決まっています。さらに、当該研究課題についての研究論文をもう一つ執筆中です。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度で得られた上述の研究成果に立脚して、令和4年度では今度は、電子・フォノン間の結合定数が十分大きい場合について調べます。このような場合におけるエリアシュベルグ方程式を扱うべきバナハ空間とその部分集合を適切に設定して不動点定理を応用します。こうすることによって、電子・フォノン間の結合定数が十分大きい場合におけるエリアシュベルグ方程式の解の存在と一意性を数学作用素論的に示すことを目的とします。さらに、解の温度についての性質をも導き出すことも目的とします。
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Causes of Carryover |
Nature誌の姉妹誌へ投稿した論文の掲載決定がなされて論文掲載料の支払い義務が令和3年度中に生じた場合に備えて、令和4年度分の前倒し支払いを令和3年度にお願いしました。 しかし、結果として掲載決定が令和4年度になされましたので、支払い義務が令和3年度中には生じなく令和4年度に生ずることになりました。このため、次年度使用額が0より大きくなりました。上記論文の掲載に伴って、令和4年度には支払い義務が生じますので、論文掲載料を令和4年度に支払います。 さらに、令和5年度に開催される国際会議のCommittee Memberにも選ばれて、その上招待講演も要請されましたので、この国際会議の登録料を令和4年度に支払います。また、パソコンやプリンターの購入経費としても使用します。
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Remarks |
Book review of ''Advanced Quantum Condensed Matter Physics'', Shuji Watanabe, 2022年, zbMATH https://zbmath.org/?q=an%3A1480.82003
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Research Products
(2 results)