2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of numerical verification method for resolvent
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21K03373
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
木下 武彦 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30546429)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精度保証付き数値計算 / レゾルベント / 楕円型境界値問題 / 作用素方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はシミュレーションの基礎となる偏微分方程式(関数方程式)の解を数学的に保証するための基礎研究として,レゾルベントの有限次元近似とその収束性を解明することを目的としています.また,具体的な対象として,非線形楕円型境界値問題の近似解を中心とする線形化作用素から導かれるレゾルベントに対して,その近似計算法と収束性を明らかにします.
令和3年度の成果として,スペクトル法や有限要素法が持つ妥当な仮定の下で,非線形楕円型境界値問題の線形化作用素に対する近似レゾルベントの収束性に関する結果を得ることに成功しました.さらに,これまで近似レゾルベントの存在自体も不明だったのですが,本研究により近似精度を上げて行けばいずれ近似レゾルベントが存在することも明らかになりました.線形作用素の収束性については幾つかの位相があり,代表的な位相は,ノルム収束,強収束,弱収束の3つになります.本研究結果では,有限次元で近似したレゾルベントは元のレゾルベントにノルム収束はせず,強収束することがわかりました.さらに,近似レゾルベントの作用素ノルムは元のレゾルベントの作用素ノルムに収束することもわかりました.本研究結果によりこれまで知られていた線形化作用素の可逆性の確認手法と,その評価は近似精度を上げて行った極限では等号が成立することが判明し,近似レゾルベントの構成方法が妥当であったことが示されました.また,この結果は非線形楕円型境界値問題の線形化作用素から導かれるレゾルベントだけでなく,より一般の関数方程式に対するレゾルベントの有限次元近似にも応用できる可能性があります.
令和4年度以降の研究では以上の成果の拡張と改良を重ね,より一般のレゾルベントに適用できるように,近似手法の検討と開発を継続して実施します.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本助成事業の援助により,共同研究者との討論の場を設けることができました.その結果,令和3年度には非線形楕円型境界値問題の線形化作用素を背景とするレゾルベントに対する近似手法とその収束性に関する結果が得られ,その結果を国際会議で報告し,論文にして投稿しました.論文は現在査読中です.また,共同研究者との議論により,本手法をより一般の境界値問題を背景とするレゾルベントにも拡張できる可能性が得られました.令和4年度にはこの可能性を追求し,令和3年度に得られた結果の拡張に試みます.
以上の理由から,当該研究はおおむね順調に進展しているといえます.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は非線形一般化重調和方程式の線形化作用素から導かれるレゾルベントに対する近似手法とその収束性について研究を行います.一般化重調和方程式と楕円型偏微分方程式は共に境界値問題となるため,令和3年度で得られた結果に近いものが得られると予想しております.そして,一般化重調和方程式と楕円型偏微分方程式の結果を元に,これらを統一的に扱える抽象的なレゾルベントに対する近似手法およびその収束性について研究を行います.そのためには令和3年度と同じく,共同研究者全員との議論の場を設けて,本研究課題を深く掘り下げたいと考えています.研究が順調に進まなかった場合には抽象的なレゾルベントに対する考察は諦め,一般化重調和方程式から導かれるレゾルベントの近似について集中的に研究を行い,楕円型偏微分方程式との本質的な違いについて考察を行います.
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Causes of Carryover |
令和3年度にはワークステーションを購入する計画でしたが,世界的な半導体不足により計算機の価格が高騰したため購入を見送りました.令和3年度の予算内でも購入できるワークステーションもありましたが,その価格帯の計算機は現在使用している計算機とさほど違いがないため,購入するメリットもありませんでした.令和4年度には令和3年度から繰り越した予算と令和4年度の予算を合わせることで計算機の価格高騰に対応し,研究計画当初の性能を持ったワークステーションを購入する計画です.また,計算機以外には研究実施に必要なソフトウェアや周辺機器の購入や共同研究者との研究打ち合わせや研究集会で発表するための参加費などに使用します.
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