2023 Fiscal Year Annual Research Report
次世代ニュートリノ実験における大強度ミューオンの測定
Project/Area Number |
21K03591
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
山本 和弘 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (80303808)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 電子増倍管 / EMT / ニュートリノ / ミューオン |
Outline of Annual Research Achievements |
長基線ニュートリノ振動実験T2KはニュートリノのCP対称性の破れの兆候を世界で初めて見出し、現在はデータの蓄積と装置の高度化を行いつつCP対称性の破れの発見に向けて研究を進めている。クォークのCP対称性の破れだけでは現在の物質優勢宇宙を全く説明できないため、ニュートリノのCP対称性の破れの発見に期待がかかっている。その中で、大強度陽子加速器施設(J-PARC)からスーパーカミオカンデに向けてニュートリノビームを打ち出すときに、その方向をリアルタイムに監視している装置、ミューオンモニター(MUMON)がある。MUMONには49個のシリコン検出器(Si)が縦横に並べられ、パイ中間子の崩壊時にニュートリノと同時に生成されるミューオンを測定することで間接的にニュートリノの方向を監視している。しかし加速器の増強と共にミューオン強度も増加し、Siは放射線損傷により信号が低下し使用に耐えなくなってきた。そこで次期検出器として電子増倍管(EMT)が候補に挙げられ開発が進められている。EMTは小型の光電子増倍管のフォトカソードをアルミで蒸着したもので、ミューオンがダイノードに衝突して生成される電子を増幅してその強度を測定する検出器である。2021年度と2022年度に東北大学ELPHでのテスト実験により、EMTが十分な放射線耐性を持ち、J-PARCメインリング(MR)の将来強度(1.3MW)において100日間の照射に対しても数%の信号減少しか認められず、広い強度範囲においても良好な信号応答の線形性が確認された。2023年度はJ-PARCのMUMONピットにEMTを持ち込み、MUMONの中央部分に7個を水平方向に並べ、MRのビーム強度710kWでデータを収集した。Siと遜色ないプロファイルを得ることに成功しSiの後継機としての可能性を十分に示した。今後はEMTの数を増やして実用化へ進めていく。
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[Presentation] T2K実験横方向ミューオン飛程検出器Wall MRDにおけるヒット時間情報較正装置の性能評価2024
Author(s)
山本健裕, 本條貴司, 清矢良浩, 山本和弘, 木河達也, 安留健嗣, 在原拓司, 関矢拓郎, John Nugent, 工藤悠仁, 南野彰宏, Giorgio Pintaudi, 他T2K Collaboration
Organizer
日本物理学会2024年春季大会
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[Presentation] 電子増倍管によるT2K実験ビーム方向測定の実証試験2024
Author(s)
佐藤幸音, Megan Friend, Ian Heitkamp, 本條貴司, 市川温子, 石塚正基, 川村悠馬, 木河達也, 中平武, 中村輝石, 坂下健, 山本和弘, 他T2K Collaboration
Organizer
日本物理学会2024年春季大会
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[Presentation] T2Kミューオンモニターのための電子増倍管に関する研究2023
Author(s)
川村悠馬, 市川温子, 石塚正基, 木河達也, 佐藤幸音, 中平武, 中村輝石, 坂下健, 清矢良浩, 本條貴司, 松原綱之, 山本和弘, 安留健嗣, Ian Heitkamp, Megan Friend, 他T2K Collaboration
Organizer
日本物理学会第78回年次大会