2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K03622
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小野寺 仁人 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40778396)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河進化 / 銀河 / 観測天文学 / 銀河天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、赤方偏移2程度で観測されている遠方楕円銀河に特徴的なコンパクトな形態の起源を含む、大質量銀河の形成及び進化の解明である。2022年度は、2021年度に引き続き、すばる望遠鏡の微光天体分光撮像装置 FOCAS の面分光モードを用いて観測された赤方偏移z=0.4のコンパクトな星形成銀河のデータの解析を進めた。銀河内の速度構造の測定について面分光装置の疑似スリットによる波長較正への影響が指摘され、この影響の評価などが必要なことがわかった。また、これらの天体は赤方偏移z=0.4で星形成をおこなっているコンパクト銀河を、赤方偏移2以上の遠方で星形成をおこなっているコンパクトな星形成銀河に類似したものとして扱っている。一方、近赤外線の面分光観測をもちいることで直接遠方の星形成銀河を観測できる。そこで、期間限定で利用可能になったすばる望遠鏡SWIMSの面分光観測をもちいて、赤方偏移2-2.5で冷たいガス降着の兆候が見られる領域のコンパクトな星形成銀河のフォローアップ観測の提案をおこない、採択された。しかしながら、観測はマウナロア山の噴火の影響をうけて期待したデータを取得することができなかった。また、新しく利用可能になったジェイムズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のデータをもちいて、より遠方の赤方偏移3-5にある楕円銀河の探査をおこない、数密度の測定をおこなったところ、大質量のものについては先行研究と概ね一致することがわかった。一方、低質量の楕円銀河についてはJWSTの高品質なデータによってはじめて詳細な調査が可能になり、星形成銀河とは異なり、低質量になればなるほど数密度が多くなるわけではないことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
すばる望遠鏡のFOCASによって取得されたデータについて疑似スリットによる影響が指摘され、その評価や影響の取り扱いについての検討が必要になった。また、すばる望遠鏡でのSWIMSの観測がマウナロア山の噴火の影響を受けて十分な質のデータを取得することができずに終わってしまった。一方、JWSTのデータが利用可能になり、新たな知見が得られるようになることで、フォローアップ観測やプロジェクトの進展も見られている。新型コロナウイルス感染症による移動の制限などが緩和されてきた年度の終盤では対面での議論の機会を得られるようになってきたが、それまでは十分かつ効率のよい議論が展開できず、よい進捗を遂げることが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遅れを取り戻すべくデータの解析を推進する。また、SWIMSでの観測機会は当面失われてしまったが、他の観測手法を用いることによって遠方での楕円銀河形成の現場を直接観測する試みも継続して推進する。さらに、可能な限り対面での議論や研究発表の機会を設けたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行のため、対面での研究会参加や共同研究のための出張旅費を予定して計上していた旅費・滞在費を使用することができなかった。また、論文化に際して必要な投稿料についても、論文化に遅れが出ているため使用することができなかった。これらについて研究費の繰り越しをおこなった。2023年度は、国際会議等での成果の発表をおこなう際の旅費・滞在費としたいと考えている。また研究成果の論文化にあたっての原稿料として使用する計画である。具体的には、2023年度の請求額と繰越額、2023年の請求額については当初の計画通りに使用し、繰越額については、当初の予定に追加しての出張旅費及び滞在費として使用する計画である。
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