2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K03622
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小野寺 仁人 国立天文台, ハワイ観測所, 助教 (40778396)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河進化 / 銀河 / 観測天文学 / 銀河天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、赤方偏移2-4程度で観測されている遠方楕円銀河に特徴的なコンパクトな形態の起源を含む、大質量銀河の形成及び進化の解明である。2023年度は、引き続き、すばる望遠鏡の微光天体分光撮像装置 FOCAS の面分光モードを用いて観測された赤方偏移z=0.4のコンパクトな星形成銀河のデータの解析と結果の解釈をおこなった。とくにパイプラインのバージョンアップにともない、波長較正やバイアスの処理についての更新があり、最終的な整約データの精度が向上した。新規データにおいてもコンパクトな銀河にもかかわらず回転運動の兆候が見られること、中心付近における電離ガスのアウトフローもしくは活動銀河核の存在を示す幅の広い輝線成分が見られることがわかった。ここでは赤方偏移z=0.4で星形成をおこなっているコンパクト銀河を遠方のコンパクト銀河の類似天体として扱っている。一方、赤方偏移2を越える星形成銀河を直接観測し、このような類似天体における実際の類似点や相違点を比較することも重要である。そこで、赤方偏移2.5で強い質量降着の証拠が見られる銀河団に対して、すばる望遠鏡の MOIRCS の狭帯域フィルターを用いた Hα輝線天体の撮像観測提案を主著者としておこない、採択された。しかしながら、すばる望遠鏡の主鏡トラブルによる観測休止期間と重なり、データを取得することができなかった。さらに遠方の赤方偏移4を越える楕円銀河の探査をおこない、赤方偏移4と4.5にある静的に進化する銀河をそれぞれ同定した。これらの天体は宇宙初期の原始銀河団や銀河群として存在し、銀河周辺の環境が星形成活動の停止に寄与している可能性がある。特に前者の原始銀河団は赤方偏移4という比較的遠方にもかかわらず静的に進化する銀河が狭い領域に集まっており、現在の銀河形成モデルでは再現することが困難であった。
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