2021 Fiscal Year Research-status Report
On-site 15-yr Experiment of Metal Accumulation onto Mn oxides
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21K03682
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
臼井 朗 高知大学, 海洋コア総合研究センター, 特任教授 (20356570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 香子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 主任研究員 (30610399)
柏原 輝彦 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(海底資源センター), 副主任研究員 (70611515)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マンガンクラスト / マンガン団塊 / 北西太平洋 / 陸上温泉 / 海底マンガン鉱床 / 海底火山 / 沈着実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
世界の海洋底に分布する鉄マンガン鉱床は,多様な産状,組成,構造を示すが,その多様性の原因は具体的には特定されていない。本研究課題においては,一連の海底現場沈着実験のひとつとして,海底に放置したガラス板やプラスチック板への重金属の吸着,および同じく海底に放置した合成マンガン酸化物への金属吸着現象を対象として,試料の記載・分析を既におこない,それらを総括的にまとめた。この海底沈着実験と類似した現場実験を,陸上温泉や,室内実験による鉄マンガン酸化生成物と溶存金属元素との反応結果をモニターする実験を企画し,現場(北海道雌阿寒岳オンネトーの温泉地)で試験的な沈着実験を行う予定であった。感染拡大のため,天然の海底マンガン鉱床(マンガンクラストやマンガン団塊)とを比較して多様性の解析を目指すこととした。本年度は,15年間の沈着実験により,金属を吸着した合成マンガン酸化物の組成分析,沈殿物の形態と組成を観察した。沈着実験の試料は,2001年に実験開始し,2011年と2016年に回収した合成酸化マンガン鉱物を用いた試料を,ICP質量分析による化学分析,XRFによる鉱物分析,および走査型電子顕微鏡およびエネルギー分散型スペクトル分析による形状・形態の観察と化学分析を行った。 また,先行研究や,未発表データなどを中心として,海底マンガン鉱床の広域的および層位学的な組成や構造の変化の多様性に関わる過去の事例をまとめた。2件の学術論文の執筆を計画中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症により,現地調査や共同分析,共同実験の機会が大きく制限され,出張が困難となり,計画した陸上温泉における現地調査は実施できていない。また研究発表や意見交換などの共同調査,共同研究の機会も大きく制限されたことが大きな原因となって,他分野データの照合や。意見交換,論文執筆計画が遅れている。海底沈着実験で得られた金属吸着後のマンガン鉱物の微小部分析の共同実験は予備実験に止まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,2022年度から2023年度にかけては,過去に実施した沈着実験の結果生成した沈殿物について,高精度・高解像度の化学組成分析と形状観察を実施し,それらと,天然の海底マンガンクラストや温泉沈殿物の化学組成と形状観察との比較を実施する。 これらの分析や観察が困難な場合は,高知大学が海洋研究開発機構と共同経営する海洋コアセンターが所有する,微小部分析装置や観察装置の利用を検討する。 今後の研究の方向性は,本研究を通じて,海洋における天然現象,環境条件を規制した沈着実験,理論的・実験的に進行する金属吸着現象の比較対象である。それらの総合解釈により,多様性の要因に迫る。
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Causes of Carryover |
コロナ感染状況を勘案し,現場実験のための出張旅費,実験のための補助員の雇い挙げ謝金,実験器具の準備のための研究機材購入経費,そのた役務費などを次年度繰り上げとして,同規模の研究を行う。
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[Journal Article] Tellurium stable isotope composition in the surface layer of ferromanganese crusts from two seamounts in the Northwest Pacific Ocean2022
Author(s)
Fukami, Y., Kashiwabara, T., Amakawa, H., (...), Usui, A., Suzuki, K.
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Journal Title
Geochimica et Cosmochimica Acta
Volume: 318
Pages: 279-291
DOI
Peer Reviewed
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