2021 Fiscal Year Research-status Report
地殻起源磁場変動は応力磁気効果でどこまで説明できるのか
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21K03721
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 健一 京都大学, 防災研究所, 助教 (20436588)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地磁気 / 応力磁気効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究に用いるための地磁気観測記録(データ)として、インターネット上で公開されておりダウンロード可能なもの、DVDなどの媒体で過去に提供を受けたもの、実施者所属機関が定常的に観測を続けているものを整理するとともに、生のデータをグラフ化するなどして確認し、平均化処理の方法や異常値処理の方針などを検討しながら、次年度以降のデータ解析の準備を行った。 利用可能な地磁気データから、地球の外核や電離層ではなく、地殻に起源をもつ経年変化の成分を抽出するための前処理に必要な計算コードを作成した。提案されている地磁気モデル(注:地上の観測所および人工衛星で得られた地磁気観測記録から推定した全球的な地磁気の標準的な時間・空間変化を、球関数展開の係数で表現したもの)から、日本周辺の地磁気時空間変化の予測値を復元するコードを準備した。 磁気異常および広域応力場(数100kmスケール)が既知である地域において、応力磁気効果によって生じる磁場変化量を計算するコードの作成を進めた。この計算方法は、研究開始時点ですでにある程度完成していた。しかし、別課題における成果として、弾性乗数の鉛直不均質を含む形で従来の定式化を一般化した計算方法が得られた。そこで、本課題に用いる計算コードもこれに対応した形に修正すべく考察を進めた。 研究のキーワードである応力磁気効果そのものについて、結果が出た後の解釈を見越して、地球科学に限定せずに他分野(物性物理)も含めて先行研究のレビューを行うことで、問題点を部分的にではあるが明確化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出張を伴う研究活動、具体的には関連研究者との詳細な議論、および地磁気観測点周辺の磁気環境調査を、コロナ禍の終息を待って実行しようとしていたのだが、完全終息の見通しは立たず、一時的に活動がしやすかった時期はあったものの、その時期は他用務との関係で本課題への注力が難しかった。そのため、応力磁気効果の計算のなかで関連研究者からの批判的意見を受けたうえで仕上げたい考えていた箇所について、完成とみなせるレベルに至らなかった。 また、「研究実績の概要」の記載に記載した、別課題の成果として従来よりも一般化した計算法の導出に成功したため、これを取り込んだコードを作成しようとしたことも、当初計画よりも高いレベルを目指す過程であるとはいえ、計算コード完成の遅れにつながった。 以上を踏まえて、自己評価として区分「やや遅れている」を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初計画通りに、観測値の解析、理論解に基づく予測、その比較という両面から進めていくが、コロナ禍の推移によって臨機応変に対応する。 これまでに整理したデータ、およびすでに確立したコードを用いた解析・計算は、環境に左右されず実行可能なので、着実に推進する。 一方、出張を要するもの、具体的には地磁気観測点周辺での磁気測量、対面での議論・情報収集については、環境の影響を大きく受ける。秋ごろをめどに、計画最終年度(令和5年度)のことも含めて実行可能な内容を再検討し、やむを得ない場合は当初計画時に予定していた内容を、出張作業無しで実行可能な形に修正することも検討し、それに従い研究を推進する。
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Causes of Carryover |
申請額からの減額を考慮して、新規購入予定だった磁力計の購入計画を見直した結果、少なくとも令和3年度内の新規購入は中止して既存の機器を用いる方針を立てた。そのため、物品費が繰り越しになった。 また、国内・国内とも、ほとんどの学会・研究会の現地開催が中止になったため、多めに見積もっていた旅費の使用が、直前の中止に伴うキャンセル料の支出を除いてゼロになったため、旅費も大部分を繰り越すことになった。 国内・国外への出張は次年度(令和4年度)も難しい状況が続くかもしれず、旅費は今年度(令和3年度)と同様に余ることとなるかもしれない。年度中ほどまでの状況を見て、減額のために今年度の購入を中止した磁力計の購入を再検討する。
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