2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel flat laminate vapor chamber with innovative inner structure
Project/Area Number |
21K04180
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
水田 敬 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (10336323)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ベーパーチャンバー |
Outline of Annual Research Achievements |
新たに創製した革新的内部構造を最適化するため、コンピューターシミュレーション法であるVOF法(Volume of Fluid)を用いた数値的検討と、現有装置である3Dプリンター(Form 3)による試作サンプルを用いた実験的検討により、冷媒の循環特性を向上させるための構成について研究開発を行った。 まずは、3Dプリンターで使用可能な種々の素材の特性について検討するため、平板のテストピースを作製し、それらテストピースの寸法精度を調べるとともに、表面における水の接触角を可視化により定量化した。その結果、寸法精度と強度が高く接触角が小さい素材であるリジッド4K(現有在庫を使用)やリジッド10K(現有在庫を使用)が微細流路構造を形成するうえで適していることがあきらかとなった。 次に、上記で得られた知見をもとに、リジッド4Kやリジッド10Kを用いて微細流路を形成し、それら微細流路内における水の流動実験を行い、VOF法によるシミュレーション結果と比較することによって、VOF法のパラメーター値を最適化した。その結果、種々の流路構造について、VOF法における界面進行速度の推算値は、微細流路における水の流動実験より得られた実測値に対して、妥当な結果を得た。 そこで、VOF法を用いて冷媒循環特性の最適化について初期検討を行うとともに、得られた結果をもとに、3Dプリンターを用いてベーパーチャンバーサンプルを作製した。なお、ベーパーチャンバーサンプルの作製に際しては、真空下での冷媒の封入・封止を実施する必要があるため、自動制御ステージ(購入品)を用いた冷媒の封入・封止装置を新たに開発した。 その結果、作製したベーパーチャンバーサンプルは高い温度平滑化効果を発揮しており、内部構造の妥当性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度においては、まず3Dプリンターにより形成した微細流路構造における水の流動特性と、コンピューターシミュレーション法であるVOF法による予測値とが十分な精度で一致する様、VOF法におけるパラメーターの最適化を行うことが重要であった。 得られた結果より、VOF法による予測値と、実測値とは十分一致することから、妥当な結果を得ることが出来、パラメーターを最適化するという目的が達成された。 また、VOF法を用いて、冷媒循環効率を向上させるための初期検討を行い、内部構造最適化に関する基礎的知見が得られ、それに基づく試作サンプルの作製を行った。 作製した試作サンプルは十分な温度平滑性を実現したことから、VOF法を用いた検討により決定した内部構造の構成は妥当であったと考えられる。 以上より、令和3年度の研究状況は、想定していた研究計画に対しておおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の研究により、VOF法を用いたベーパーチャンバー内部構造最適化に関する研究開発スキームの妥当性が確認され、さらに最適構造に関する基礎的知見が得られたことから、令和4年度は、さらにベーパーチャンバー内部構造最適化に関する検討を進めていく。 具体的には、ベーパーチャンバー内部構造を構成する種々の部位について、そのスケールや相対的な位置関係についてVOF法を用いてパラメトリックに検証を進める。その結果得られた構成について、複数水準のベーパーチャンバー試作サンプルを作製し、それらの温度平滑化効果や熱抵抗、さらには、異方性熱伝導率などの定量化を通じて、内部構造と伝熱特性との関係を検証する。 検証結果をVOF法による予測結果と相関することにより、VOF法を用いた内部構造の最適化における予測精度を向上させ、VOF法を用いた設計スキームを確立する。 確立した最適設計スキームをもとにした検討により、最終的に、従来と同等以上の熱的性能を有したまま、薄型なベーパーチャンバーを実現する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として、3,182円が生じた。 研究経費執行において実効性に留意した結果、令和3年度における研究進捗状況は当初計画と比較しておおむね順調であったことから、さらなる物品の購入などを控え、令和4年度における研究開発において、当該金額を当初予算額と合わせて執行することとした。
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